Maybe .II (ページ43)

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「またしょっぴーか……何回目や……別にうちの病棟やなくてもいいやないか」

　康二は隣で文句を言っている。普段はしょっぴーと仲が良いのだが、前に入院依頼をされた時にそれはもうめちゃくちゃに忙しくて、本当に大変な目に遭ったのでそれがトラウマになっているのだ。

「なるべく早く上げてほしいって……」

「喧しいわ！こっちにも色々あるんじゃ！」

　康二はぶつぶつと言いながら、入院の準備をしに行ってしまった。

「……まあ、仕方がないから……リーダー、よろしく」

　そう言って、流星くんは俺にリーダーピッチを渡した。
　看護師はチームで仕事をしている。うちの病院は基本的に2人1組になって患者さんを見て回っている。だけど、看護師は病棟に入院している全ての患者さんを大まかでもいいから、把握する必要がある。それは、もしものことが起こった際に、どのように対応すればいいか咄嗟に判断ができないと困るからだ。しかし、患者さんを受け持っている看護師は業務をこなすだけでとても忙しく、目の前の患者さんを看ることに必死だ。だから、代わりに全ての患者を把握して、病棟を仕切ってまとめるリーダーが必要となる。
　今日は俺がその役割を任された日だった。
　
　