Maybe .II (ページ42)

今日:20 hit、昨日:0 hit、合計:63,116 hit

情熱で駆け上がる鼓動ページ42

　
side.sn

　昼ご飯を食べ終わり、みんなと別れてから俺は康二と一緒に病棟へと戻った。

「ん？なんや、騒がしいな……」

「もしかして、入院の依頼とか……？」

　嫌だな……そりゃ、仕事はしないといけないのは分かってるし、救急病棟はそういうところって理解してるんだけど……入院したばかりの時って検査とか処置が多いから大変なんだよ……。

「休憩ありがとうございました」

「おかえり」

　ピッチが置いてある机の近くにいた1年、先輩の看護師ーー藤井流星くんに声をかけると、死にそうな顔で言葉を返してくれた。

「……何かあったんですか？」

「それがな……風間先生から、肺炎の患者さんを入院させて欲しいって依頼が来たかと思ったら……交通事故で骨折した患者を入院させろって電話が来て……」

　あの比較的温厚な流星くんが全身をワナワナと震えさせている。一体、彼をこんなに怒らせたのは誰なんだ……もしかして……。

「もしかして、それって……」

「しょっぴーだよ」

　やっぱり……しょっぴーは整形外科の渡辺翔太先生のあだ名だ。ここの看護師が勝手にそう呼んでいる。シナモンみたいな可愛い顔して、無理矢理入院を入れて来ることがある、意外と強引な先生だ。今回もきっとそうなのだろう……。
　
　