Maybe .II (ページ38)

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耳鳴りのように届くのはページ38

　
side.iw

「うん、いいですね。心電図の波形もいいし……機械のおかげで状態は安定しています」

「ありがとう、岩本先生。先生のおかげです」

　ーー救急病棟にある病室の一室。ここに入院している患者さんは昨日の夜、いきなり脈が遅くなってここに来た。脈が遅くなった人にはペースメーカーを入れることになっている。そうしないと、心臓が十分に動かなくなって、血液が全身に回らずに色んな臓器に様々な影響が出て来る。
　でも、ペースメーカーを入れるのは時間がとてもかかる。だから、その前段階として一時的にペースメーカーの役割を果たしてくれる代わりの機械を入れる。今、目の前の患者さんにはそれが入っている。この機械はとても簡易的だから、機械部分が全て剥き出しで、首からその機械に向けてルートが伸びている。

「今日、午後になったらペースメーカーを植え込む手術をしますね。昨日、説明したことで何か分からないことはありますか？」

「特にありません。先生にお任せします」

　患者さんは笑みを浮かべている。

「分かりました。一緒に頑張りましょうね。また来ます」

　そう声をかけて、一緒に話を聞いていた医師と共に病室を後にした。
　
　