Maybe .II (ページ34)

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「……1号室の患者さんなんですけど、今は安静度がベッド上になってますが……麻痺もないですし、安静度拡大してもいいですか？」

「……そうですね」

　カルテを見つめたまま、無愛想に答える。
　少しはこっち見てよ……それ、受け取る人によってはパワハラになるよ？

「……今日、リハ依頼を入れますね。安静度はリハビリに合わせて拡大してもらって……看護師さんサイドでは、端座位まで可とします。また、記録だけ書いときますね」

「……分かりました。お願いします」

　今日はまだ指示を出してくれた。酷い時は、俺が声をかけると全く反応しないから、しめとか他の後輩に行ってもらうこともある。

「……なんか、悪いことしたかな……」

　北斗先生とは同じ大学出身で、音楽サークルに入っていた。その頃は、仲が良くて……よく2人で色んな話をした。本の話、アニメの話、将来の夢……本当に1番身近な男友達だった。

「……」

　しばらくして、彼が先にこの病院に就職し、俺がその1年後に就職した。そこで再会した時に、俺は久し振りに会えて嬉しくて……話しかけた。でも……彼は俺を見た瞬間、逃げるようにどこかへ行ってしまった。

(いつからだろ……)
　
　