Maybe .II (ページ4)

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「……ふっか先生」

　そう言うと、深澤先生は一度、大きく目を見開いてすぐに目を細めた。

「うん、佐久間」

　いきなり呼び捨てにされて、とても驚く。距離の縮め方、急すぎない！？陽キャってそんなもんなの！？

「あー、さっくんの方が良かった？」

「うーん……どっちでもいいです」

　確かに、俺のことをさっくんと呼ぶ人も中にはいる。まさか、深澤先生が知ってるなんて思わなかったけど……。

「じゃあ、気分で勝手に変えるね」

　何と勝手な……だけど、そんなことは言えない。

「……はい」

　そう答えるしか、俺の選択肢はなかった。

「じゃあ、今日はありがとうございました」

「うん。お疲れ」

　俺は車から降りると、ぺこりと頭を下げた。深澤先生が手を挙げると、車は道路に向かって行った。

「……なんだったんだ……」

　両手にたくさんのフィギュアが入った袋を持って、ため息をついた。少し疲れた。でも……。

「楽しかったな」

　友達とお喋りをしながら、クレーンゲームをするなんてあまり経験したことがなかった。一人で嫁を救出しに行けばいいと思っていたから……こんなに楽しいなんて知らなかった。
　
　