Maybe .II (ページ1)

今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:63,113 hit

もう一度夢を見たくてページ1

　
「親が来て、救急車が到着して……俺は救急車で病院に行った。あんな下手な心臓マッサージだったのに、奇跡的におばあちゃんは息を吹き返して、心臓も動いた。でも……意識は戻らなかった」

「……」

　よくある話だ。心臓マッサージをしても、助かる人は……多くない。発見が遅かったら、尚更……。

「その後、親にだけ病気の説明がされた。おばあちゃんには点滴だけが施された。でも、俺には……どうしておばあちゃんが倒れたのか……誰も話してくれなかった。親も先生も……まだ子どもだからって、分からないだろうって……勝手に決めつけて……」

　先生の声が少し震えている。
　……その時の先生の気持ちも分かる。忙しいし、子どもだからって言って説明しない先生だっている……のも分かる。

「……それから、俺は毎日毎日病院にお見舞いしに行った。テスト週間だったんだけどね……もしかしたら、意識が戻るかもって……思ったんだ。その時に、俺が近くにいてあげたいって……」

「……」

　残酷だ。誰かが話してあげれば良かったのに……周りはみんな、助からないって知ってたくせに……。

「だけど、1週間後……おばあちゃんは息を引き取った」
　
　