【男主】春に舞う雪

水に浮かぶ春 ページ31

なんか、事務所行くのすごい緊張する
理由は十分分かってるんだけどさ
たかが髪染めたくらいで？って思うじゃん
でも、今回思い切って水色に染めてみたんだよね
ついこの間佐久間くんがピンク染めたの見て、メンバーカラーで染めるのいいなって思って
自分では結構綺麗に染まってると思うし、美容師さんも「似合ってますよ！」って言ってくれたんだけどさ、やっぱりなんか言われるかもとか思うとなかなかこのドアに手がかからないんだよね


岩「おーい、A？」


あー、どうしよ…
似合ってないって言われたら？
「ちょっと気分転換で染めただけだから、すぐ黒にするよ」なんて言っちゃう？
折角染めたからしばらくこれでいこうと思ったのにな…


岩「あれ、聞こえてない？イヤホンはしてないよな」


んんん…
佐久間くんのピンクほど似合ってる自信ないよ…
あー、やっぱり冒険しなきゃよかったかな…


岩「Aー！おーい！」

「うわっ！ビックリした！！」

岩「ずっと声かけてたんだけど」

「え、ご、ごめん！」

岩「どうした？ドアの前で固まって。入らないの？」

「いや、入るけど…。みんなもういる？」

岩「半分ってとこかな。YouTube撮影組は後で来るし」

「そ、そっか」

岩「それより、髪染めたんだな」

「ひっ！」


突然髪を掬うように優しく触られて思わず変な声が漏れる


岩「どんな声してんだよ(笑)」

「急に触るから…」

岩「思ったより傷んでないのな」

「美容師さんが一生懸命トリートメントしてくれたから、」

岩「ん、似合ってる」

「えっ！ほんと！？」

岩「何でそんな驚く？」

「いや、ちょっと自信なかったから…」

岩「こんな綺麗な顔して、似合わないとかあんの？」

「…なんか今日の照兄チャラい、」

岩「いつもこんなんだろ(笑)さ、中入るぞ」

「ちょっ、心の準備が…！」


背中を押されてそのまま部屋の中に入れられる


岩「はい、春野くん出勤でーす」

向「おー…って！春くんどしたん！髪染めたん！？」

渡「え、待って。まさか俺のメンカラ！？ついに俺推し！？」

向「なわけないやん、明らかにあれ水色やん」

佐「春たんお似合いだねー」


佐久間くんにわしゃわしゃ髪を撫でられる
それがなんとなく気持ちよくて目を閉じると、遠くで阿部ちゃんが「さくはるも尊いな…」なんて呟いた気がした




岩「だから言ったじゃん、似合ってるって」

「…ありがと」

佐「あはっ、春たん照れてるー！かわいー！！」

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