黒色くんと八色の話。１【ﾚﾝﾒｸﾞﾛ】

◆Ren.M ページ50

家に帰るように言われ、すぐに帰り支度をする。



もちろん言われなくてもこの状況で帰らない選択肢はない。



(？)「泊まるんじゃないの？」



返事する余裕もない位、俺の頭の中はAでいっぱいだった。



理由はどうであれ、俺は嘘をついた、Aを傷付けた。



家を飛び出した俺は変装するのも忘れて走った。



走って走って走った。



1ヶ月ぶりの再会がこんな最悪な形になるとは…。



どんな顔でなんて言おう。



そんなことを考えながら玄関を開けるが、家の中は真っ暗で人の気配は無かった。



『A？』



名前を呼ぶも返事は無く、俺の声は暗い空間に吸い込まれる。



寝室に入った時、妙な胸騒ぎと違和感。



クローゼットの中を見てその胸騒ぎが的中したのを理解した。



Aのキャリーケースが無くなっていた。



日付を超えようとしても帰って来ないので、電話をかけるも出ない。



そりゃそうか…。



仕方なくその日は眠りについて、翌朝再び電話をすると



A「…もしもし。」



…繋がった。

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