灯台もと暗し (ページ29)

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マンションに近付くにつれて繋いでる手を

少しだけ強く握ってくれる辰哉。

言葉にはしないけど、大丈夫ってこと

なんだろうなと思って、握り返す。

少しだけ、こっちをみて微笑んでくれた。

幸せだなと思ってるのも束の間

マンション前に誰が立っている姿がみえる

ふと、こっちを見た瞬間、顔が見えて

誰なのかがすぐ、わかった。

辰「…っアイツ…Aはここに居て？」

「…大丈夫、言いたいこと言ってやりたいから
辰哉にそばにいて欲しい。」

辰「…わかった、行くよ？」

わざと、辰哉の腕にしがみついて歩く。

それに気付いてなのか辰哉は私の腰あたりに

軽く手を回す。私の不安を解くかのように。

1人で佇んでる、アイツに声をかけた。

「人のマンションの前でうろつかないでくれる？」

健「…A、俺が悪かった、話し合おうよ。」

「どの面下げて、どの口がもの言ってんの？
あんたと話すことなんて私は何も無いから。
これ以上、私に近寄らないで。」

健「……でも、俺…ほんと…」

「あ、ひとつだけ。あんたのお陰で気付けたの。
私が幸せにしたい人、私と一緒に幸せになって
くれる人に。それだけは感謝してる。」

健「………わかった。もう近付かない。悪かった。」

というと、背を向け帰って行った。

向こうにも色々と言いたいことがあるかも

知れないけど、それを言わせないように

畳み掛けるように言葉にした。

感謝してるのは本当。アイツとのこともでも色々

あって、より辰哉の大切さがわかったのも事実。

辰「格好良かったよ。でも、俺いる意味あった？わら」

「大アリだよ！辰哉が隣に居てくれたから少し
強気でいけた！ありがとう。」

辰「次は俺の番だから。」

「？」

辰「もうすぐ2人着くってさ！家の中で待ってよ。」

「ねぇ、そこ私の家だから。笑」

家の中に入った瞬間、辰哉に抱き締められる

「ちょっと辰哉。2人来るよ？」

辰「みせつけたら良くね？」

「ちゃんと色々解決しましたって伝えてからね？」

辰「じゃあ、ちゅーして。」

「…んっ…はい、おしまい！」

しないとうるさそうだから、一瞬だけ。

辰「……………本当にした…」

「ちょっと、顔真っ赤だよ？笑」

辰「今日、寝かせねぇからな。」

「…覚悟しておきます。」