２９.呪いと愛情 ページ20
泣きじゃくる私とずっと傍にいてくれる4人｡
｢…オレたちは諦めた訳じゃないよ｡心から､それでいいと思ってるだけ｡だから､Aが泣く必要なんてないよ｣
優しい言葉をかけてくれる浦田さん｡優しく頬を拭ってくれる志麻さん｡頑張って笑わせようとしてくれる坂田さん｡温かく包み込んでくれるセンラさん｡4人の愛情が､嬉しくて､悲しかった｡
｢…は､い…｣
−そこに水を差すように2人の人影が現れた｡
｢…ちょーっといいかな？久しぶりだね｡…君に忠告したはずだけど､まだ懲りてなかったんだ｣
｢言ったでしょ､元の世界に戻るべきだって｡…こんな結末になるんだったら､そうしておけば良かったのに｣
その2人は､私の記憶を消した張本人たちだった｡
4人はその2人を見て､驚いた顔をしていた｡
｢なんで､そらるさんと､まふがおるん？｣
｢今更聞くこと？4人に呪いをかけたのも､Aの記憶を消したのも､俺たちだから｣
｢どうして､どうして､そんなこと…？｣
｢特に理由はないよ？ただ楽しそうだったから､なぁんてね｡…それより､A､こっちに渡して？｣
｢絶対嫌です｡Aちゃんは僕たちのです｡そらるさんたちには渡さへん！｣
4人は私を後ろにして､2人に面と向かって立った｡…どうして､こうなるの？これから4人は戦って､傷ついてしまう｡そんなの嫌だ…｡
−私は無意識に4人の手を引いて走り出していた｡4人が戸惑っているのも気にせず｡
とにかくこの場から去りたかった｡4人が傷つかなければ､それで良かった｡
｢A！どこ行くんだよ？！｣
｢わかりません！でも､皆さんがいればどこにでも行けると思います！｣
それから2人が追って来れない所まで走った｡
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作者名：４６猫 | 作成日時：2019年3月20日 16時
