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私から彼にコンタクトを取るのは記憶を必死に手繰り寄せても数え切れるくらいで。それは彼がマメな人間で、相手の手を煩わせない事の裏返しだった。トーク履歴を消せずにいた私は意外と彼に執着していたのかもしれない。入力画面を開いて言葉を考えるまでこんなに時間を費やしたのは初めてだ。
______お仕事お疲れ様です。２人だけでお話したいことがあります。
入力し終え、送信するとすぐに既読がついた。昼時だから今は休憩の時間が被っているのだろう。その二文字が私を捕らえて逃がさない様に思えてすぐに画面を閉じた。
それからどれだけ時計の長針が短針を追い越しても返事は返って来なかった。既読がついたことを確認したからこそ待つ時間はあまり気持ちいいものではなかった。週の始めで仕事が立て込んでいるのか、はたまた私と話す事など無いと確信しているのか。考えれば考えるほど後者だと受け取る黒い自分が肥大化していって、大学ですれ違った京本くんに「ひどい顔だ」と笑われてしまうくらいだった。
そして週の終わりが見え始めた頃、通知の音が響いてすぐに携帯を手に取れば無機質な文字の羅列が目に入った。
______日曜の夜なら空けられる
淡々と並べられた言葉から読み取れる事は少ないが、その日に自分の中で整理する事が出来る言葉が欲しいとそう願わずにはいられなかった。
連絡が来た事を京本くんに告げると鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたがすぐにいつもの顔に戻って話を続けた。
「前よりはマシになったけど顔に出るよねAちゃん」
『……そう、だね』
以前彼に言われたこの世の終わりを見た様な顔をする、とその事を思い出したのを京本くんも気付いた。だからバツが悪そうに顔を背けた事にも何も罪は無い。ただ思ったまま言葉を吐き出しただけだ。
「良い方向に変わることを祈ってる」
そう言い残して去って行った。約束の日曜まであと数日。カレンダーに目をやる自分が何だか情けなく感じてしまった。
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：絹(プロフ) - みなさん» ありがとうございます〜(/ _ ; ) 期待に応えられるようにがんばります◯ (2019年8月4日 0時) (
レス) id: c52fa03a53 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 何回読み直しても飽きないです^_^ (2019年8月2日 1時) (レス) id: fa95af4103 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 更新待ってました！ (2019年6月22日 16時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 更新していただきありがとうございます！ずっと待ってました！ (2019年3月7日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さやめめ(プロフ) - 私もとてもショックを受けましたが、またこうして更新をしていただき有難いです。とても楽しみにしていました、これからも応援しています。 (2018年12月1日 15時) (レス) id: 0eff97111c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絹
| 作成日時：2018年4月2日 19時
