双離 (ページ22)

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うっすら暗くなった空は一番遠いところから綺麗なロイヤルパープル色のグラデーション。ふと隣を見ると北斗も空を見ていた。その横顔をずっと見ていたくなった。

夕飯の前に帰らなければならないことを告げられて、何だか気持ちがふらついたのはやはり私がさみしいだけの子供だと証明しているみたいで嫌気がさす。

この横顔は私だけのものだと、心に記憶した。

帰り道も、無理やり私が付いてきただけで。北斗がここまで、と条件を付けたコンビニがどんどん近付いてきた。

下を向いた貴方の顔はよく見えないけれど、私と同じ気持ちであればいいと願った。

歩幅は意識せずとも狭く、私に合わせて北斗も狭く。でもコンビニは逃げてくれない。とうとう着いてしまった。

「…アイス食べたくなった。Aは？」

『私も、』

思いが通じたのか、一緒の願いだったのか、そんなことはどうでもいいんだ。私はソーダ味、北斗はチョコミント味。近くを流れる川沿いの遊歩道のベンチに座った。

『ご飯前だけど大丈夫？』

「うん、Aこそいいの？夕飯」

『自分しかいないから平気』

きっと似ていると言われればそうなのかもしれない。私たちは直接お互いの境遇をわざわざ話したりしないし、聞いたりもしない。その空気が心地よいのだ、きっと

「あれ、」

『ん？』

北斗が指差した先には花火大会のチラシ。

「行くの？」

『……行く人、いないから』

沈黙。いつもはこの沈黙も心地良いものだけれど、今だけは嫌で、口の中に残りのアイスを突っ込んだ。

「……人混み嫌いだから、遠くからなら」

『、え？』

「ふたりぼっちだって言ったでしょ」

夏の始まり、楽しみが一つ、増えた。

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