双離 (ページ12)

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「わかったみたいだね」

視界がぼやける中、彼は読んでいる本から視線を外さずにそういった

『……ふたり、ぼっちに…なって、くれるんでしょ』

思っていたよりも声が震えていたようで、彼の顔が上がる

視界がくっきりしてきて、彼の真っ黒な瞳をとらえる

「ほら、寂しいんじゃん、やっぱり

俺と一緒、ふたりぼっち」

そう言い放った彼の顔は、やっぱりぼやけてよく見えなかった

それに

すぐに視界が真っ暗になったから、分からなかった

真っ暗だけど温もりを感じる

彼の腕の中にいるんだ、と気付いた

何も見えないように、全てから隠すかのように

閉じ込められた、彼の中に

頭を撫でる手は、優しく何度も往復する

どのくらいそうしていたのだろう

携帯のバイブが鳴って、私は彼の腕から離れて確認する

ながつ：どこ？カバンもないけど
ながつ：もしかして帰っちゃった？

通知を見たまま何も動けない私の手から携帯をとり、勝手に何かを打ち始める

『何、して』

「まだここにいれば？

帰りたくない、って顔してる」

彼の指が伸びてきて、私の瞳から零れ落ちそうな涙をすくう。

「今帰ったら、鉢合わせるんじゃない、アイツと」

そう言って、また私の頭を撫で始めた

最初は冷めた瞳をしている人だと思ったけれど

とても温かい手をしている、その瞳は底無しに真っ暗だけれど、

不思議な人だ、と思った

と、同時に、もっと知りたいと思ってしまった

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