読者とのすれ違い ページ10
-最後の桜が散っていく-
私は今年卒業してしまう。
残念ながら、願いは叶わず、薔薇色の学校生活では無かった。
「はぁ。もう終わりか…」
と溜息をこぼす。
「よぉ。大きな溜息なんてついてどうしたんだよ？」
隣のクラスだが幼馴染みの優人。
優人は何かと私を気にかけてくれる優しいモテるヤツ。
唯一の男友達と言ってもいい。
「別に…」
とほっといてアピールをしながら教室への一歩を踏み出そうとした瞬間。
「待て！あのさぁ…」
と優人が私の行く手を阻止する。
そして私の手を引っ張って、
「これ。鈴音に渡してくんね？」
と小さな紙袋と手紙を渡された。
男子にしては綺麗な字で鈴音へと書いてあり、紙袋は女子かとつっこみたくなるくらい可愛らしいものだった。
「咲樹、鈴音と同じクラスだったよな。」
鈴音はクラスのマドンナ。私とはかけ離れている存在だ。
成績は優秀で、スポーツは出来て、雑誌のモデルをやっている。
性格も顔も成績も良く、私みたいなやつが話しかけても、
"咲樹ちゃんって絵得意だよね、良かったら今度教えてくれないかな?"と話を続けてくれ、更に話しかけて来てくれる。
「あぁ。分かった。」
こういうことはよく起こっている。
私に話しかけるのがみんな得意なんだろう。
渡してというのは男子だけではなく、女子もだ。
〇〇君に渡してくれる？●●に渡してくんね？などを１年で何回、いや何十回聞いただろうか。大抵鈴音や優人宛だが。
「ありがとう。」
素っ気ないお礼を聞くと、私は教室に急いだ。
教室はいつもよりがやがやと五月蝿かった。
みんな卒業に胸弾ませているんだろう。
このクラスの何％が志望校に受かったのかと気になりつつ、自分の席に座り、最後の先生の話を聞く。
「えー、中学校は今日で終わります。皆さん、この１年はどうでしたか？先生は１年生と比べて成長した貴方達が今この学校から巣立っていくのがとても寂しいです。」
思いもしないことをよくベラベラと話せるなと思いながら、静かに話を聞いた。
「では、最後の出席を取ります。１番」
「はい。」
３０番まで出席を取ると、先生は泣き出した。
私達が巣立っていくのが本当に寂しいのか、それとも私達の学年がやっと別の高校に行ってくれて嬉しいのか。
私は先生じゃないから分からないけれど、少なくとも後者のように思えた。
みんなが一斉に席を立つとそれぞれが仲のいい子と話しながら行動へ向かった。
勿論優人は最後まで仮面を外さない鈴音と歩いていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅー 。@うさとペア画(プロフ) - ネギトロ@38さん» コメントありがとうございます。前からその作品読ませて頂いています。ファンです、ありがとうございます。 (2018年5月14日 21時) (
レス) id: 22999b919a (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。私も占いツクールをモチーフとしたお話を書いているので、参考になりました！更新頑張ってください (2018年5月14日 21時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
みゅー 。(プロフ) - 枯羽さん» アドバイスありがとうございます。情景描写、入れてみようと思います。応援ありがとうございます*_ _) (2018年5月3日 8時) (レス) id: 22999b919a (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - あくまで個人的な意見ですが、情景描写を入れると視野が広がり、文が書きやすくなると思います。これからも頑張ってください！応援してます！初コメ失礼しました。 (2018年5月2日 21時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
みゅー 。(プロフ) - とうかさん» わわわ！ご指摘ありがとうございます！変換ミスみたいなものですね。すみません、フィクションです… (2018年4月22日 11時) (レス) id: 22999b919a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みゅー 。 | 作成日時：2018年4月15日 20時
