家政婦の雪 (ページ5)

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踏み込んだ世界の端ページ5

Aside

お昼の少し前、滝沢さんの車が私の家の前に停まった。
車体低めの、いかにも良さそうな黒の車。
・・・私の家には、とてもじゃないけど似合わないな。

タ「昨日の今日で、無理言ってしまってごめんね。
キミが作った料理、楽しみにしてるよ」

A「よろしくお願いします」

後部座席に乗せてもらう。・・・なんか、緊張してきた。

タ「もしかして、緊張してる？って、この車だからか。
普段はもっと騒がしいヤツが、助手席にいるからね。
うるさいのに、俺が慣れてるせいだな」

そう言って、クスッと笑った。
店と家の往復が中心だった道は、見慣れない景色を進む。

タ「さぁ、着いたよ。僕の家、ココの最上階だから」

滝沢さんに車を降りて案内されたのは、
見上げれば首が痛くなるほど高いマンションの最上階。

A「・・・私、ココに来ていいんでしょうか？」

タ「家主がOK出してるんだから、遠慮はいらないよ」

いざ、エレベーターで最上階へ。
エレベーターを降りると、広々とした部屋に着いた。

タ「上がって。おや、初めて見る広さの家だった？
女のコのリアクションって、なかなか見れないから新鮮だ」

最上階全てが自分の家！？
見るからにいい暮らし、私には場違いだ。

タ「台所はこっちね。材料と道具はこの辺りで」

A「精一杯、作らせていただきます」

タ「堅いなー。でもうん、楽しみにしてるね」

車からずっと緊張しっぱなしな中、料理に取りかかった。