もう一つの山脈の物語【狂気山脈】 (ページ9)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:2,267 hit

ブリーディングページ9

「しかし、あまりにも大きな失敗を前に、各国尻込んでいる。だが僕たちは登山家だ。今までにない大きな山が姿を現した。臆している場合じゃない。何が起こるかわからない、危険な挑戦になる。だが夢がある。そうだろう？」

そこまで言うと、K2は俺達を見回してくる
たしかに、ゾムがいたら同じことを言うかもなぁ

「南極上陸の許可やそこからの移動手段はオスコー財団が手配してくれた。狂気山脈周辺は気候が厳しく安全上の観点から航空機が飛ばせない。だから南極上陸後、南極調査隊の犬ぞりを借りて山脈の麓、およそ4000メートル地点まで移動する。そこから標高差6000メートルの登山だ。目標は山脈最高峰ただ一つ。航空写真から割り出された地形図を元に最も登頂確率の高いルートを割り出した。第一次登山隊が通ったルートとほぼ同じになるだろう。何か質問はあるか？」

…ゾム達が通ったルートとほぼ同じか
何もないといいけど…

「私からは、何も。」
「登りゃあいいんでしょ、楽勝楽勝。」

様々な反応やな…
そんな風にぼーっと聞いていると勇さんがぽつりと発言した

「そうですね、あのー大変恐縮なんですが…あのー、私体がでかいものの体があまり強くない方でして…たまに休憩を入れてもらうとありがたいのですが…」
「ああ、もちろんだ。ちゃんとキャンプの地点はセットしてあるから一日しっかり休めるような位置で休憩するルートを取っているから、しっかり１日分の体力を回復できるだろう。」
「ありがとうございます。皆様プロなのに私のせいで、申し訳ございません。」

あー、そっか
考えてみたら普通の人は休憩を挟まないと疲れるか
俺は太陽の光で回復することができるからあまり気にならないけど…

「そうは言っても君の噂も聞いてるぞ。君だって十分プロじゃないか。謙遜はしているが、人並み以上には当然登れる。」
「ええ、なんとか今日のために準備してまいりました。」
「心強いな、よろしく頼む。」