知らなくてもいいこと ページ42
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Watanabe side
渡「いや、キツっ…！」
滝沢歌舞伎も終わったかと思えば並行して行われてたレッスンが本格化されてきた。
今年はライブづくしの年になるのは嬉しいが、こんなにきついとは正直想像はしていなかった。
今までも結構ハードなスケジュールの日は多かったけど今回はいつも以上にキツい。
言い訳をする訳ではないけれど、昨年の12月くらいから滝沢歌舞伎の稽古が始まって
滝沢歌舞伎中に3月のライブの構成、レッスン。
それが終わったかと思えばまた歌舞伎が始まって、5月のライブの構成、レッスン。
稽古とレッスンを並行してきた俺らを褒めて欲しいもんだ。
「おつかれさま、翔太くん」
渡「あ〜、お前もおつかれ」
隣から話しかけられたかと思えばペットボトルを俺の首に当てているAがいた。
…ん？首に当ててる、？
渡「うわっ!冷たっ！」
「んふふ、思った以上の反応だ」
俺の首に冷たいペットボトルを当てて喜んでいるAは少年のようだった。
そしてその額には少し汗をかいていた。
「じゃ、これどーぞ」
渡「あ、さんきゅ」
そう言って俺に水分を渡すとすぐに他のやつらのところに向かって、みんなに水分を渡し終わると、また俺の横に戻ってきた。
…犬かよ、笑
そして壁に寄りかかって座っている俺の横にAはしゃがんだ
渡「…なんで俺の横来んの」
「だって1番暇そうなんだもん」
渡「おい、俺は休憩してるの分かる？」
「んはは、分かってるよ」
そう笑うと目にかかった髪を耳にかけた。
その動作に俺は息を呑んだ。
渡「お前またすぐここ出んの？」
「え？あぁ、うん」
渡「また忙しそうだもんな」
話を逸らしたからかAは少しびっくりしていたが直ぐに話をし直した。
そう話をするAは少し痩せた気がする。
歌舞伎中はまだ安心できるくらいの細さだったから良かったが、今はあんまり良くない細さになってきている。
こいつ、また食べてねぇな。
「歌舞伎中はありがたいくらいにゆっくりさせてもらってたからさぁ？そのおかげで今寝不足」
そんな俺の気持ちも知らずに
へへ、と笑ったA。
渡「ま、体調管理はしっかりしろよ」
「ん、分かってるよ」
渡「また倒れられたらこっちも大変なんだからな」
素直に言えない俺をわかってか、Aはふふと優しく笑うとはぁ〜いと怠けた声を出した。
するとAはスタッフさんに呼ばれてそちらへとかけて行った。
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作者名：suger | 作成日時：2022年2月19日 12時
