・ ページ39
.
Mukai side
「おれが今よりもっと小さかった時もみんな優しくしてくれてさ、？」
そう話すAは嬉しそうでどこか微笑ましかった。
「それに、康二が頑張ってるとねおれまで頑張ろうってなれるの」
向「え、そうなん？」
「うん、本人を前にして言うの恥ずかしいけどね」
そう照れくさそうに笑ったAは少年のような顔だった。
「お、着いた着いた」
しばらく歩いていると目的の場所に着いた。
確かにそこはAが言っていた通りとても綺麗で、特にライトアップされてるから余計に美しく見えた。
向「A良く知ってたやん！」
「んふふ、かれこれ数年は来てるからねここに」
少し照れくさそうに、でも得意げに笑ったA。
「綺麗だよね〜、ほんと」
向「おん、昼間も来たいな」
「今度の休演日一緒に来よ」
向「え、ええの？」
「なぁに、おれと一緒じゃ嫌ですかぁ〜？」
向「ちゃうちゃう、Aから誘ってくれるなんて久しぶりすぎて泣きそう」
泣きそうは少し盛ったけど、Aから誘ってくれるのは久しぶりで嬉しかったのは事実だ。
「んはは、おれそんなに誘わなかったけ？」
向「そやで、5億年ぶりやで」
「はいはい、すぐにボケないの。今はツッコム気にもなんないしなりよりそこまで無理しなくていいから」
"素でいて"。
Aはそう俺の目を見て言った。
その目は俺を写していて、いや俺しか写してなかった。
俺が口を開こうとすると、さわっと優しい風が吹いた。
そんな中、俺はAを見た。
向「っ…､」
そして俺は息を呑んだ。
風で舞った桜がAを包んでいた。
その姿はまるで…｡
言葉では表せないけれど、なんかこう、
Aに儚さを感じた。
Aは桜から俺に目線を移すとにこりと笑った。
「今日風強いね、桜散っちゃわないか心配」
向「そやな」
こんなこと前もあった気がする。
そんときもAにこんな感情を抱いた気がした。
だから俺は、
向「…A、俺らの前から消えんといてな」
Aの目を見てそう言った。
その俺の目はAしか写していない。
「…みんなを残して消えないよ」
向「ごめん、変な質問してもうたわ」
向「とりあえず、もっと見てこや」
「うん、そうだね」
向「んじゃ先行ってるわ！」
そう言って俺は走った。
だから俺は
「…消えないよ、今はね。」
なんて言っていたことに気づけなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 451人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：suger | 作成日時：2022年2月19日 12時
