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俺たちの振り入れが駆け足なのは、
今に始まったことではなくて、
今日もこの数時間でほとんど一曲の振りを入れた。
忘れないうちに、
何度か踊ろう、と照が言い始めたのを、
俺は止めることが出来なかった。
いつもの流れだ。
阿部ちゃんもそれを受け入れて、
真っ赤な顔をマスクで隠す。
一曲踊るたびに、フラフラと後ろに倒れそうになっていたし、
それをにこにこ笑って誤魔化すのも限界のはず。
見かねて水を取って阿部ちゃんに渡すと、
笑顔で受け取って首の後に当てた。
他のメンバーにばれないように、
さり気なく手を顔に当てると、
やっぱり異常に熱い。
「無理しないで」
ab「…うん、ありがとう」
さっき踊った動画を確認して、
修正箇所を指摘し合う。
全員が立ったままタブレットを覗き込んでいて、
阿部ちゃんは一番うしろで背伸びするようにそれをみていた。
ふと隣で、フラフラっと影が後ろに移動するのが見えて、
慌てて振り返る。
阿部ちゃんは、
メンバーの輪から2,3歩後退して、
そのまま俺たちに背中を向けたと思うと、
口元を押さえたまま部屋を飛び出していく。
咄嗟に水を片手にその背中を追った。
トイレに駆け込む背中が見える。
それを追いかけて駆け込むと、
個室の中で苦しそうに嘔吐する彼の姿があった。
「無理しちゃだめだよって言ったのに…」
じっとりと汗をかいた背中をさする。
しばらく苦しそうに胃の中のものを出したが、
途中からはもう何も出ていなくて、
ただえずくことしか出来ないようだった。
「いつから？」
ab「風邪気味だったんだけど…
悪化したのは今朝方かな…」
少し話すと、また苦しそうにえずいた。
これは重症だな、
そう思って、苦しそうな彼のおでこに手を当てる。
熱と冷や汗でじっとりと濡れていた。
「今日は帰ろっか。
みんなに話してくるよ」
ab「…大丈夫。
最近全員揃うことなかなかないし…
…大丈夫だから」
「…何いってんの。
そんなのより体調の方が大事！」
強がりながらも、目は涙目で、
身体はふらふらだ。
むしろ、よくここまで隠したと思うほど。
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葡萄 - 続き楽しみにしてます!応援してます! (2021年10月1日 7時) (
レス) id: 3255ffb603 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - 初めましてすばるです。お話大好きです。haryuさんの学園のお話を読みたいのでパスワード教えて欲しいです。 (2021年3月12日 19時) (レス) id: 520852b95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月8日 0時
