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阿部ちゃんの首が縦に振れたのと同時に、
長い廊下の少し先からガチャリと廊下に響く音がして扉が開き、
ふっかさんが部屋の中から心配そうに顔を出すのが見えた。
「…阿部ちゃん大丈夫そう？」
「落ち着いたみたいやけど、心配やから病院連れてくわ」
ふっかさんの問いに答えようとした阿部ちゃんを
やんわり遮って答える。
「本当？じゃあ、頼んでいい？」
「おん。もうちょっと落ち着いたら荷物取りに戻る」
「わかった。阿部ちゃん、無理すんなよー」
ふっかさんの声はいつも包み込むように柔らかい。
自分には阿部ちゃんを安心させるような声は出せないかもしれないけれど、ほんの少しでも、苦しみを分け合って、寄り添えるならそれでよかった。
「今の、かっこよかった？」
「よくわかんない」
「ええ！？そこは格好良かったで！で、
阿部ちゃんニコって笑って
secret touchのイントロ流れて、
からの恋が始まる流れやろ！」
阿部ちゃんがあはは、と笑ったのを見て安心する。
思い詰めていたらしいつっかえの一つくらい、
取り除いてあげられただろうか。
「じゃ、薬もらいに行くで」
明るく言ってベンチから立ち上がる。
阿部ちゃんは上目遣いに俺を見た。
「ありがとう。本当に」
「そんなに何度も言わんといて。
恥ずかしいやろ！」
「あはは、そうだね。なんかわかる」
わかってて言うあたり、阿部ちゃんらしい。
そしてやっぱり、彼も俺のことをわかる、
と言ったことになんだか嬉しくなった。
end.
終わり
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葡萄 - 続き楽しみにしてます!応援してます! (2021年10月1日 7時) (
レス) id: 3255ffb603 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - 初めましてすばるです。お話大好きです。haryuさんの学園のお話を読みたいのでパスワード教えて欲しいです。 (2021年3月12日 19時) (レス) id: 520852b95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月8日 0時
