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Side:kj
部屋の隅で咳の音がずっと聞こえていることに
全員が気づいていて、全員が気にしないふりをしている。
ここにいる全員が共犯であると、
おそらく全員が自覚していて、
そのヒヤヒヤする苦しそうな咳の音を、
同じように苦しくなりながら聞いている。
「阿部ちゃん、もう、あかんわ」
誰も言わないなら俺が言う。
そう思って、結局そう言えた時にはもう、
だいぶ無理をさせてしまっていた。
もう少しだけ早く言えていたら、
と考えたらキリがない。
だから意識的に考えるのをやめた。
「…無理したらあかん、薬持ってきてる？」
その苦しさは嫌と言うほどにわかる。
そう言おうとして息を吸った刹那、
阿部ちゃんの怯えたような顔が目に入って言葉を飲み込んだ。
「ちょっと部屋出よか。打ち合わせ続けといて」
俺は、隣で絶え間なく咳をし続ける阿部ちゃんの手を取って立ち上がった。
念のため、彼の鞄も併せて持つ。
予感が当たればきっと必要になるはずだ。
メンバーは心配そうな顔を浮かべながらも何も言わずに見守ってくれて、その優しさにホッとした。
打ち合わせをしていた会議室から少し離れた場所に置かれたベンチに阿部ちゃんを座らせて、顔を覗き込む。
すでに呼吸の音はおかしくて、
予感は的中したのだと確信した。
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葡萄 - 続き楽しみにしてます!応援してます! (2021年10月1日 7時) (
レス) id: 3255ffb603 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - 初めましてすばるです。お話大好きです。haryuさんの学園のお話を読みたいのでパスワード教えて欲しいです。 (2021年3月12日 19時) (レス) id: 520852b95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月8日 0時
