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Side:nb
俺が台車に乗った後、
普段はすぐに追いかけてくるはずの阿部ちゃんがなかなか着いてこなかった。
あまりにも遅いので、
心配になって振り返ると、
台車に乗らずに
大きな体を曲げて走ってこちらに向かってくる、
阿部ちゃんの姿が。
トラブルがあったことは、
容易に想像できた。
俺が振り返ると、
阿部ちゃんはメインステージを指差して、
早くいけ、と促してくる。
俺が間に合わなくてもいけないので、
とりあえずメインステージまで移動した。
スタッフがインカムでせわしなくやり取りしている。
酸素スプレーを用意しているが、
阿部ちゃんがここにたどり着く頃には、
おそらくステージに上がる時間が迫る。
ただでさえ、MCまで一気に踊ると、
普通にしていても苦しくなるような
ハードなセットリストだ。
俺は体力にあまり自信がないから、
余計にわかる。
阿部ちゃんはいつも
涼しい顔でやってのけてはいるが、
さすがにメインステージにたどり着いたときには
相当息は上がっていた。
「阿部ちゃん、行ける？」
声をかけると、
苦しそうに肩で息をしながら頷いた。
膝に手をついてぎりぎりまで呼吸を整えている阿部ちゃんの手を引いて、
引っ張り上げるように舞台まで連れて行く。
激しいダンスナンバーが続く。
他のメンバーにも余裕が無い。
それを覚悟して組んだセットリストだ。
立て続けに3曲披露して、
残り一曲踊りきればMCに入る。
そこまでもってくれ。
この曲に限って、
阿部ちゃんの移動が多い。
立ち位置に移動する阿部ちゃんの顔を確認する。
普段では考えられないほど息が上がっていて、
暗転した一瞬、
膝に両手をついて、激しく咳き込んだ。
それが余計に苦しそうだ。
その様子に、
他のメンバーも何かが違うことを察したようだ。
明転すると、
さっきまでの苦しい顔が嘘のように
激しいナンバーを踊りながら、
客席を煽った。
俺も自分のことに必死になる。
最後のポジションにつくと、
異常な息の音が隣で鳴っていて、
MCが始まる直前に後ろによろけた。
その腕を掴みながら、涼太に目で合図する。
幼馴染は、目を合わせただけですべてを察してくれた。
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葡萄 - 続き楽しみにしてます!応援してます! (2021年10月1日 7時) (
レス) id: 3255ffb603 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - 初めましてすばるです。お話大好きです。haryuさんの学園のお話を読みたいのでパスワード教えて欲しいです。 (2021年3月12日 19時) (レス) id: 520852b95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月8日 0時
