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「四年分の課題も実技も、超優秀な阿部ちゃんと一緒に受けられるから助かってるんだよね〜」
「何言ってんの。俺だって、魔法史とか文系の科目はふっかに助けられてる」
「てか呪文や飛行術を覚えるのに、まさか養成所での経験が役に立つとは思わなかった」
「俺ら案外こっちの方が才能あったのかもね」
「ホントよ。まさかこの俺が勉強で褒められる日が来るとは……」

呪文学や飛行術はセンスが九割と言われていて、向き不向きがはっきりと出やすい科目なのだが、俺とふっかはずば抜けて才能があった。
お互いに器用な方だと自覚はあった。
多分それは小さい頃から厳しい芸能の世界に身を置いていたから。

飛行術はスポーツ全般が得意なふっかの方が長けているが、俺も呪文学に関してなら、学年の誰にも負ない自信がある。
入学前に色々なジャンルの呪文学の文献を、手当たり次第に読み込んでいたというのもあるが、論理的に物事を考えることが好きな俺にとって、呪文の構造をいちいち紐解きながら覚えていくことは単純に楽しかった。
今は呪文の応用にも挑んでいるところ。
その他には理系の分野に関わりのある薬学系なんかも得意。
それに、意外にもふっかが魔法史の分野で才能を爆発させ、楽しそうにしているのを見るのも嬉しい。

「足も完璧に治してくれてさ、本当、阿部ちゃん様様って感じ」

ふっかから受け取った変身術の本を閉じ、最初に読んでいた本を手元に寄せて栞を挟んでいたページを開く。

「そこはもっと感謝したほうがいいよ、マジで」
「ありがとー、阿部ちゃん」
「いや軽いな」

向こうの医学では治せないものでも、単純な肉体の損傷であれば、魔法界では比較的簡単な呪文で治すことができる。
まあこっちの怪我のほとんどは呪文による厄介なものが多いから、あまり使われないらしいけど。


集中力が切れたのか、ふっかが椅子に座ったまま背伸びをしながら聞いてくる。

「そういえばさっきから阿部ちゃんは何読んでるの?」

聞かれて、チラリと表紙を見せた。

「呪文学の禁書」
「やばぁ」
「だって全然見回りこないし」

見回りが来たとしても、一瞬で表紙を別のに変えるけどね。
笑いながらそんなことを話していたら、


「よお、マグル」


すぐ近くの通路から、誰が聞いても分かる程度に嫌味な感じの声が聞こえた。

それまでのほのぼのとしていた空気が一瞬で変わる。
ふっかと目を合わせると、表情を引き締めて静かに椅子から立ち上がったのだが、一歩遅かった。

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みな(プロフ) - はじめまして。面白いです。ホウキとか杖とかも出てくるんでしょうか?続き楽しみにしておきます。 (9月15日 6時) (レス) id: 2fd29c3102 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そらちね | 作成日時:2023年9月13日 14時

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