魔法と思春期 skab (ページ24)

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魔法学校の入学許可証が届くことも、
それがきっかけでふっかと一緒に魔法学校へ入学することも、
少し前の俺は夢にも思っていなかった。

ある日突然届いた封筒がきっかけで、魔法使いの血が流れていることを知ったとき、あまりにも現実からかけ離れすぎている話に眩暈がした。
俺が生まれる前に亡くなっていたため直接会ったことはないが、父方の祖母が魔法使いだったらしい。
魔法学校というところがあり、そこに入学して魔法を勉強できる。
魔法使いになれるなんて、そんな嘘みたい話の数々を、普段から冗談もあまり言わないような厳格な父の口から聞かされた。
だから妙に説得力がある。
魔法界に魔法学校はいくつかあり、その中でも今回手紙が届いた魔法学校は、祖母も通っていた格式の高い名門校らしい。
とはいえ、そんな得体の知れない学校に二つ返事で入学するわけがない。

とりあえず説明だけは大人しく聞いているが、こちらの意見を聞かれたタイミングで「お断りします」とそう返そうと心に決めていた。
第一今の学校や養成所はどうする。
何があっても靡くことはないな。
そう思っていたはずなのに、父の説明のなかに引っかかる言葉を見つけると、あっさりとその意志を覆した。

「魔法を使えば怪我も治せる」

それを聞いて頭に浮かぶのはただ一人。
年明けに事故に遭い、四月の頭にふざけたメールをよこした挙句、養成所を勝手にやめ、俺の前からも消えた深澤辰哉。

ふっかはバカだから、あれくらいのことで俺との縁が切れたと思っているのかもしれないが、十年来の関係なんてそう簡単に清算できるわけがない。
あれ以来向こうからの音沙汰はないものの、ふっかのお母さんとはこまめに連絡を取り合ってたから、実は四月以降もふっかの状態はちょっとずつ把握していた。
足の状態を知らなかったとはいえ、退院までのあいだに結果としてふっかを苦しめるメールをたくさん送ってしまったことは申し訳ないとは思う。
しかしそれよりも遥かに、俺に相談くらいしてくれたって良かったじゃん！という怒りの気持ちの方が強い。

馬鹿ふっかめ、会えたら覚えてろ。

どのみち落ち着いたら家に乗り込むつもりだった。

謎の封筒が届いたことで、高二という微妙な時期に進路を迫られるなんて夢にも思わなかった。
だけどふっかの足を治せる。
その可能性が生まれたことに、心はぐらぐらと大きく揺れた。
ちょうどそのタイミングでふっかのお母さんと直接会う話になった。