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17 side_fk ページ17

要約すると、とりあえず俺は、どこかの学校とやらに入学できる許可を貰えたらしい。


家を出る時間も差し迫っていたため、パンを齧りながらフムフムと真剣に母ちゃんの話に耳を傾けていたのだが、何一つとして理解出来ない。
おかしいな、そこまで頭が悪いはずじゃないんだけど。

「てかさ、俺もう学校通ってるじゃん」

今まさに制服を着て登校しようとしているこの姿が見えないわけがない。
だけど母ちゃんは、当たり前でしょ、みたいな顔をして簡単に俺をあしらった。

「こっちの世界ではね」
「勉強不足で申し訳ないんだけど……こっちの世界以外に、どこかありましたっけ?」
「魔法界よ、魔法界」
「へえ〜あそう、魔法界ね〜そうだそうだ忘れてたわ〜」

いやホント、なんのこっちゃ。

朝から冗談のキツイ夫婦だぜ、なんて普段だったら鼻で笑い飛ばしてさっさと学校へ行っちゃうんだろうけど、あの時の俺は、なんとなくこの話が嘘じゃないんだって冷静に受け入れていた気がする。
というのもこれまでの経験を思い返してみると、俺は少しだけ人より霊感が強かったり、説明のつかない不思議な体験をすることが多かったからだ。
だけどそれを特別なことだと思わなかったのは母ちゃんがいたから。
母ちゃんも小さい頃からずっと俺と同じような体験をしてきたのだと聞かされている。
俺は母ちゃんの血を受け継いでいるんだ。
そう思うと不思議と怖くなかったし、全て納得できた。


この話の流れで、実は俺の母ちゃんが魔法界出身の魔法使いでした!と特大級の秘密を打ち明けられたんだけど、「嘘つけぇ」と思う気持ちと心のどこかで「ほら、やっぱり」と思ってしまう俺がいて。

もはや家を出なきゃ学校に間に合わない時間をゆうに過ぎているというのに、いつの間にか両親から聞かされてる魔法界の話を夢中になって聞いていた。


この封筒が届いた俺に、与えられた選択肢は二つ。
一つは、このままの生活を続けること。
もう一つは、母ちゃんの生まれ故郷である魔法界へ行き、魔法学校へ入学してしばらくあっちの世界で過ごすこと。

「魔法学校へ行くなら、入学式は九月だからね」
「そこは外国式なんだ」
今は七月の後半。
もし仮に今の生活を大きく変える選択をするとなると、もう諸々動かなければいけない時期だ。

「どうする?」

聞かれて真っ先に思い浮かんだのは、幼い頃からずっと一緒に夢を誓い合ってきた同期の顔だった。


阿部ちゃんに、なんて言おう。

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みな(プロフ) - はじめまして。面白いです。ホウキとか杖とかも出てくるんでしょうか?続き楽しみにしておきます。 (9月15日 6時) (レス) id: 2fd29c3102 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そらちね | 作成日時:2023年9月13日 14時

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