魔法と思春期 skab (ページ16)

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「あんたそれ、学校から手紙来たの？」
「は？」

とりあえず困ったことは母ちゃんに聞こう。
そう思い、通学カバンと封筒を一緒に持ってリビングに顔を出すと、俺が手にしていたものをめざとく見つけた母ちゃんから先に声を掛けられる。
わざわざ朝食の準備をしている手を止めて、キッチンの中から駆け寄って来た。

「これウチの学校のお知らせじゃないよ」
「そんなの分かってるわよ。辰哉、それ見せて」

興味津々の母ちゃんに封筒を渡す。
受け取った封筒を表、裏と何度かひっくり返しながら、明らかに喜んでいる様子の母ちゃんに、ますます謎は深まるばかり。
そのうちヘッタクソな鼻歌混じりに、「パパ呼んでくる」と寝室で寝ている父ちゃんを呼びに行ってしまった。

「え、俺の朝メシはどうなんの。おーい」

仕方なくキッチンに入り、トースターにパンを一枚セットする。その間に食器棚から小皿と自分のマグカップを取り出して、フライパンの上に放置されていたウインナーを小皿に、牛乳をマグカップに注いだ。
パンが焼ける間、これから焼くつもりだったであろうハムを一枚拝借し、牛乳を飲みながら大人しくキッチンで待つ。
パンも焼け、今日の俺の朝食が完成したところで、騒がしい母ちゃんの声と同時にリビングのドアが開いた。

「父ちゃんおはよ」
「おはよう」

俺が声を掛けると、寝癖のついた髪をガシガシと掻きながら、眠そうに瞼を擦っている父ちゃんまでもが「辰哉良かったな」とこの不可思議な状況を理解しているように笑った。

「食べながらで良いから聞きなさい」

しばらくして落ち着いたところで、両親からリビングのソファに座るように促された。
準備した朝食を運び、大人しくソファに腰を下ろせば、俺の正面に向かい合うように両親が座った。

「じゃあ早速」

咳払いをして改まった母ちゃんが慎重に封筒の封を開けると、中に入っていた二枚の紙をテーブルに並べる。
一つはかなりしっかりした紙で出来ていて、ゲームに出て来そうな、外国の紋章っぽいものがデカデカと押されていた。
その下には細かな筆記体で描かれた英語っぽい文字。
もう一つは学校で配られるプリントみたいなどこにでもある紙。
こっちには日本語が羅列している。

紋章だと思っていたものは学校の校章で、この紙自体が入学許可証になっているらしい。
もう一方の紙の方は、入学許可証に書かれた英文を日本語訳したもので、母ちゃんはそれを俺に読み聞かせてくれた。