A little while ago side_fk ページ15
いつものように目が覚めて学校とレッスンに行く準備をしていたら、ゴンだかガンだか、とにかくそこそこ大きな音を立てながら、何かがベランダの手すりに当たったのが聞こえて思わず飛び上がった。
なになに、怖いんだけど!
石でも飛んできた?
何事かと慌ててカーテンを開けると、窓ガラス越しに見えたのは、雪のように真っ白なフクロウ。
おそらく大きな音の正体はこいつで、ベランダの手すりに捕まろうとして上手くいかなかったんだろう。
ベランダの床に降り立ち、衝撃で左右非対称に広がった羽を小さく畳む仕草をしながら、澄ました顔でこちらを見上げていた。
フクロウなんて見たこともなかった俺は、そこそこのデカさのそれに小さく悲鳴を上げながら窓から後ずさる。
てか、なんでフクロウ?
どうしてこんな街中にいるわけ?
動揺する俺に、フクロウは琥珀色の瞳を静かに向けて何かを訴えかけているようだった。
人に怯む様子はない。
雪だるまみたいなずんぐりした体型が、時々首を小さく動かしながらこちらをジーッと見つめていた。
あれ、何か咥えてる?
小さな嘴に、何か白くて平たいものが挟まっている。
怖いけど気になる。
動きの読めないフクロウを刺激しないよう、慎重に一歩一歩近づきながら、逃げ腰の状態で窓を開けた。
近くで見ると思っている以上にデカい。
カラスか鳩かスズメぐらいの鳥しか知らない俺は、フクロウ相手にめちゃくちゃビビっていた。
飛びかかって来たらどうしよう、なんて心配する俺をよそに、フクロウはゆっくりと一歩だけこちらににじり寄ると「どうぞ」とでも言うかのように、ベランダの床に咥えていたものを落とす。
音もなく落ちた白い物体。
これ、手紙だ。
「あ、ねえ待って!」
嘴から手紙を離したフクロウが一歩後ろに下がったかと思うと、真っ白な羽をめいっぱい広げている。
飛ぶつもりだ。
反射的に慌てて呼び止めようとしたものの、フクロウは俺を一瞥すると、消えるみたいにどこかへと飛び去ってしまった。
『魔法学校入学許可証在中』
拾い上げた真っ白な封筒の表には、綺麗な文字で謎の言葉が羅列している。
魔法が、なんだって?
首を傾げながらベランダから部屋に戻り、学習机の上に置きっぱなしにしていた眼鏡を掛ける。
もう一度封筒の表の文字を読んでから裏返すと、何だかよく分からないけどカッコいい紋章風の蝋印が押されていた。
なんだか、ハマりにハマってプレイしているRPGのゲームに出てきそうだ。
206人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みな(プロフ) - はじめまして。面白いです。ホウキとか杖とかも出てくるんでしょうか?続き楽しみにしておきます。 (9月15日 6時) (レス) id: 2fd29c3102 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そらちね | 作成日時:2023年9月13日 14時