立ち別れ ページ16
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
(たちわかれ いなぱのやまの みねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ)
智「泣くなよ」
翔「っ、うっ、だって！」
智「一生会えないわけじゃないんだし」
翔「さっ、みしぃ、よっ」
翔くんは泣きながらおいら服の袖を握っている
おいらと翔くんは離れ離れになる
おいらが遠いところに引っ越すことになったんだ
翔「うっ、さと、くんっ」
翔くんはずっと泣いていて
おいらが居ないとだめだなって
改めて思った
料理が壊滅的に下手くそで
周りに気を遣いすぎて、すぐストレス溜めるから
ちゃんとおいらが聞いてあげなきゃいけないのに
翔「ごめんね、泣いてばっかで…」
翔くんが涙声のままそう言った
翔「あっちに行っても頑張ってね」
翔くんは無理に笑顔を作って
おいらの服の袖をそっと離した
その瞬間、急に悲しさが込み上げて
わかったんだ
翔くんはおいらがいないとダメなんじゃなくて
おいらが翔くんがいないとだめなんだと
その瞬間、涙が溢れた
智「しょ、くん、ごめっ、んね」
今のおいらには翔くんを抱きしめることしかできなかった
それから、お互い涙しか出なくて
旅立つ時間がやってきた
翔「智くん、絶対にまた会おうね」
翔くんの言葉においらは深く頷いた
智「翔、愛してる」
翔「俺も愛してる」
そう言って、お別れではなく
いってきますのキスをした
君が待っているとわかったら
いつでも帰ってくるよ
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作者名：氷結 | 作成日時：2015年2月18日 1時
