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その日の夜。
ドイツ棟、潔たちに与えられた部屋では、ラファエラについての議論が交わされていた。
「ラファエラさんて結局、何のために日本に来たんやろ」と、氷織。
「ネスの言い方的にはサッカー教えるためだと思う。教鞭、教鞭」と、黒名。
「ね。見たところサッカーやってそうに見えないけど、カイザーのお姉さんなら強いんだろな」と、雪宮。
「あのネスが“ラファ姉”なんて言うの意外すぎるわー」と、潔。
潔の一言で一瞬部屋が静まる。
「なんか潔くんだけコメント適当すぎひんか?」
「そんなことない」
「食い気味、食い気味」
「うるせえ」
そこで、微笑みを浮かべて傍観していた雪宮が思い出したように呟く。
「ラファエラさんのこと、絵心さんが“女帝”って言ってたよね……」
その言葉でもう一度静まり返る部屋。
「確かに……」
「女帝って多分あれだよな、バスタード・ミュンヘンのさ」
「ああ、多分そうだろ」
「待て
その話俺知らない」
すかさず黒名が抗議の声を上げる。
「あれ黒名くん、知らんの?
誰か説明してやり」
「なんで氷織がやらねんだよ」
「何やねん潔くん、イキリモードはいってもうた?
しゃーないな、説明したるわ」
氷織は、一言余計だと騒いでいる潔を横目に、必要最低限の説明をしていく。
ラファエラ・カイザー、通称“バスタード・ミュンヘンの女帝”。
その名はドイツ国内はもちろんのこと、欧米、果ては日本のサッカーファンにまで知れ渡っている。
幼い頃からサッカー選手になることを志し厳しい練習を行っていたが、練習中の事故により足を故障してしまう。
やむを得ず選手人生を絶たれたが、サッカーに関わることを諦めきれずに地元の強豪チームであるバスタード・ミュンヘンへ移籍。
そこで、的確なアドバイスと自らの経験を基に作り上げた練習メニューをもって、ドイツの実力を短期間かつ合理的に底上げした張本人である。
「……なるほど、なるほど」
「分かりやすい説明だね」
「悔しいけど分かりやすいな」
「分かりやすかったら良かったわ
それで、ラファエラさんの目的は何なんやろね」
「今の話だとサッカー教えるために来たっぽいけどな」
ラファエラの存在を完全に理解した様子の黒名が、首を傾げつつ呟く。
時間を確認していた雪宮が声をかけた。
「まあ、明日になったら絵心さんに聞こう
今は寝ないと」
「そうやね」
「おやすみ」
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ユキネコ@しばらく無浮上(プロフ) - エリザベス女王さん» 姉様は基本的に何考えてるか分からないので……笑 今後どうなるか私も楽しみです(?) (4月25日 22時) (レス) @page7 id: ce88fc4737 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - な、、なんという展開、、⁈何を考えているんだ姉様!、、 (4月25日 18時) (レス) @page7 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
ユキネコ(プロフ) - エリザベス女王さん» わわ…ありがとうございます!本家だと可愛いところがあまりないので、完全に妄想で可愛い弟感出しちゃってます…笑最高と言ってもらえるなんて感激です!!ペースは遅いですががんばります! (4月11日 18時) (レス) id: 7e1c174fc5 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - 今回も最高です、、、‼︎カイザーが可愛すぎる😞なにを言っても言いくるめられちゃって舌打ちしかできないカイザー最高です!更新待ってます! (4月11日 18時) (レス) @page6 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
ユキネコ(プロフ) - エリザベス女王さん» エリザベス女王さん、コメントありがとうございます!ラファエラはカイザーより余裕なキャラにしたかったので嬉しいです…!コメントを糧に頑張ります💪 (4月7日 18時) (レス) id: 7e1c174fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキネコ | 作成日時:2023年9月16日 21時