97 sakuma ページ11
同棲するに当たっての約束を切り出した時、目の前でボロボロと泣き始めたAを見て、やっぱり限界だったかな。って思った。
正直、気づかないふりをしてきたけど、Aが俺の職業そのものもを自分のコンプレックスにしていることはなんとなく気づいてた。
仕事の話をすると、途端に反応が薄くなることも、
その次の日の朝目覚めると、悲しそうに俺の顔を見ていることも、
事務所の名前を出すと、週刊紙にでも撮られたのではないかと慌てだしていたことも、
インスタに載せられた友達の彼氏との写真を見て、羨ましそうにしていたことも。全部。
ずっと、見て見ぬふりをしてきた。
なのに、そんな時でさえ、俺の前ではできるだけ気丈に振る舞おうとしているAの優しさに、ずっと甘えていた。
現に今だって、いつも通り苦しそうな顔をして「分かったよ」と言ってくれるものだと思い込んでいた。
そんな俺が馬鹿だったと、ようやく気付かされた。
Aが苦しくない訳なんてない。
無理させていない訳なんてない。
Aのこんな顔見るくらいだったら、アイドルだって何だって良い。
だけどAは、
いつもの綺麗な瞳を震わせて
「…アイドル、辞めないで」
と、本当に心底懇願する様に、俺のことを強く抱き締めて言った。
あまりの力の強さに、思わぬ返事に、俺は思わずよろけそうになりながら、しっかりと受け止める。
いつも、俺の言葉を肯定したり、「なんでもいいよ」と俺に決断を委ねるAだ。
こんなに強い意志で「お願い」と念を押されることなど、今までなくて、Aの本気度を思い知らされた。
まるでAは、アイドルである俺を責めるどころか、
いろんなことを否定的に捉えてしまう自分自身を責めているようだった。
おかしな話だ。
好きな人が他の女の子からチヤホヤされて、好きな人といるとバッシングされるような社会で、嫌だと思うのが普通なのに、嫌がる自分を責めている。
あまりにもAが優しい。
その小さな身体で懸命に耐えている姿を見ていたら、俺まで涙が出てきちゃって。
あぁ、好きだ。大好きだ。Aのこういうところが好きなんだ。って、再確認していたら、涙が止まらなかった。
慌てて雑に涙を拭いて、その涙で濡れた唇にキスをする。
「Aは俺が幸せにしてあげるから、俺から離れないで」
A、こんなことしか言えなくてごめん。
苦しいことを全て吹っ飛ばすくらいの男になるから、俺。
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minmin(プロフ) - おもち。さん» おもち。さんありがとうございます！お友達にもお話しして下さったのですね。嬉しい限りです！これからも頑張りますので、よろしくお願いします！ (2022年3月10日 1時) (
レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - たんぽぽさん» ありがとうございます^_^ (2022年3月10日 1時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - お疲れ様でした！この作品凄く良くて...友達にも勧めてしまったぐらい大好きでお気に入りです。これからも色んな楽しい、面白い作品を作ってくださいね！！応援してます！ (2022年3月9日 19時) (レス) @page16 id: 3b9008587b (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ(プロフ) - 覚えて頂いて嬉しいです😭これからもお話楽しみにしています！ (2022年3月9日 13時) (レス) id: 92827c91de (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - さやかさん» さやかさん、ありがとうございます！女の人が見てもこれは惚れるわ…というヒロインを目指して書いていたので、そのお言葉嬉しいです。指先の方までお付き合い下さり、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2022年3月9日 13時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：minmin
| 作成日時：2022年2月27日 0時
