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「というわけで、明日からふっかの穴フォロー
岩本くん、よろしくね」そう振り向いた朝比奈さんの
顔は少し寂しそうにみえた
「もちろん、任せてください」
「お！頼もしいね…すっかり遅くなっちゃったね、
何食べようか？」
「あったかいもん食いましょう」
「あったかいものか、いいね」
って会社近くの定食屋が空いてる時間でもなくて
駅に向かうと立ち食いそば屋
「岩本くん、あったかいもの見つけた！」
って立ち食い蕎麦に入る朝比奈さん
券売機に千円札入れて
「どうぞ？好きなもの食べて？」って悪戯に笑う
「あざーす」って海老天蕎麦を注文すると
「私も天ぷらにしよ」って券を二枚買った
慣れた手つきでカウンターに出してお水を入れてくれる
「よく来るの？立ち食い蕎麦」
「うん、たまぁにね」
「へぇ、女の人も来るんだね」
「最近は女の人も増えたよ、兄ちゃん」って
大将が声をかけてきて
出来立ての海老天蕎麦を二つ前に出してくれた
「わ！美味しそう」
嬉しそうにそして美味そうに蕎麦をすする朝比奈さん
やっぱり可愛い人だな…
「ほら、岩本くんも早く食べなよ」
「いただきます」手を合わせていただきますすると
「岩本くんて、いつもキチンとしてるよね
いただきますとご馳走様」
「当たり前じゃないですか？
まぁ、ちゃんとしろって、母ちゃんに言われたから
なんですけどね」
「うん、でも食事の所作って意外に重要なのよ
会社の重職につく人でマナーの悪い人は見た事ないわ
人間性は別にしてね」
「へぇ、じゃあ俺将来重役なれますかね」
「ふふ、なれるんじゃ無い？頑張り次第では…
次の昇級審査受けてみる？」
「昇級審査すか？まぁ…」
「なあに？嫌なの？」
「そこ、あんまり興味ないかも、俺」
「まずは昇級審査上がらなきゃ重役にはなれないよ？」
「そんなこと分かってますよ」
蕎麦をサッと食べて駅に向かうからこのまま
朝比奈さんと別れたくなくて
「送りますよ」と言うと驚いた顔をしたから
「ほらまだ相談事聞いてもらってないし」って言ったら
しまった！って顔して「ごめん！そうだった…」と
あたりを見渡して店を探すけど
オフィス街でこの時間空いてるのは飲み屋ばかり
「ごめん、お酒置いてるお店しか開いてないね」
「朝比奈さんが飲みに行く店連れてって下さい」
そう言ったら路地裏の小さなバーに連れて行ってくれた
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作者名：おさと
| 作成日時：2022年10月27日 14時
