すのーがーる！３

取られたくない ページ18

〈岩本side〉

「……んで、なんでお前がAのスマホ持ってんの？」



Aから電話が来たと思って出てみると、なぜか樹の声が聞こえて来て。



田中「え？だからー、」



電話の向こう側ではギャーギャー騒いでる声が聞こえている。



ジェシー「AHAHAHAHA！！！」



田中「ちょっ！うるせえな！」



いや、お前の声も十分うるせえよ。



森本「俺も寝よーっと！」



松村「あっ、おい慎太郎！Aの隣で寝るな！」



………は？今、Aの隣で寝るなって言った？



「A、寝てんの？」



田中「そー。寝てんの。」



「お前らAにたくさん酒飲ませたりしてねえよな？」



森本「兄さんコワァ〜〜！」



田中「してないしてないー。」



電話越しの声を聞く限り、みんな相当酔ってる気がするんだけど。



「んで、どこにいんの？A連れて帰るから。」



松村「あー、ちょっと待って場所送るわ。」



ピコン、とスマホが鳴ってすぐに位置情報が送られて来る。



「今から行くからAに手出したりするなよ。」



田中「はー？そんなことしねえよ！なぁ？」



ジェシー「Aの寝顔かわいいー！！！」



いや、まじでAが心配なんだけど。



急いでその場所へ向かうと、比較的酔ってなさそうな北斗が店の前に立っていた。



松村「大変なことになってんだけど。」



と、北斗が言った通り個室の中に入るとAの横で寝ている慎太郎、そしてそんな二人を見てニヤニヤしている樹とジェシーの姿が。



田中「あー！来たー！」



ジェシー「ようこそー！！！」



二人のダル絡みを無視して、Aの方へ一目散に駆け寄る。



「おい、慎太郎退けお前、おい。」



田中「やべえまじで怒ってる(笑)」



森本「ん〜………？兄さんやん。」



一瞬目覚めたのにも関わらず、ついには横にいたAを抱きしめながら寝始めたから。



容赦なく慎太郎を引き剥がして、Aをひょい、と横抱きする。



「ったく…Aに軽々しく触れてんじゃねえよ。」



ジェシー「うわー独占欲っすかー？」



松村「早く連れて帰んないとAがまた餌食になるぞ。」



田中「バイバーイA！」



ジェシーが言うような独占欲、っていうわけじゃないけどさ、Aは誰にも取られたくないんだよ。



「少しは危機感持ってくれよな…まじで、」



帰りのタクシーの中で俺にもたれかかって眠るAにそんなことを思った。

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