内緒で紅一点してます

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私を見るなり走ってきて私の手を引いて歩き出す彼
マスクにサングラス、帽子をかぶっていてほぼ不審者





『…変な目で見られてるけど、笑』


滝「気にしない、バレる方が問題だから」





そうじゃなくて、逆に注目されてるんだよ
車に乗せられると滝沢くんは頭を下げてくる





滝「頼むっ、ジャニーさんに会ってほしい」


『え？』


滝「いや、急にジャニーさんがお前に会いたいって」






それは私じゃなくて、雪村くんの方に






『無理、お断りします』


滝「会ってくれるだけでいいから！ね？」


『なんで急に？』


滝「昔のDVD見てたら、『この子に会いたい！You連れてきてよ』って言われて…」





それで断れなかった滝沢くんが私の場所を突き止めて
わざわざ迎えてくれたらしい





『私、女だからさ』


滝「うん、知ってるよ」


『会ってどうするの』


滝「…それは、えっと…分からない、でも頼む！！」





車の中で土下座をしてくる滝沢くん






『最後だからね？』


滝「…うん、分かった。」







この時、断っていれば良かったのかもしれない
滝沢くんがマスク越しに笑ってたなんて知らなかった







滝「後ろに、“いつもの”置いてるから着替えて」


『うん』







“いつもの”とは、
雪村くんになる為のウィッグや男用の服







長い髪の毛を括り、ウィッグの中に全部入れて
メイクをと落として、薄くする








車が止まったかと思えばもう事務所の前で






滝「A、準備出来た？」






そう言って車の後部座席のドアを開ける滝沢くん






『着替えてたらどうすんの』


滝「いや、久しぶりに見たけど、やっぱ男だね」


『…うざ』



滝「ビジュアルが良すぎ、大人になったな“ゆき”も」









あっという間に、私は雪村くんになる








何年ぶりに来たんだろう。
この大きな事務所はあまり好きじゃない









滝「ジャニーさん、連れてきました」


ジ「入って、」


『失礼します』









久しぶりに見るこの人の顔は何も変わってなかった

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