君がいなくなっても-2-

052. ページ6

・



目黒「見てたなんて聞いてない。」



デビュー発表の翌日、私の家に来た蓮。



『だろうね、言ってないもん。』



目黒「どこで見てたの？」



『音響席。黒い帽子かぶって全身黒だと案外バレないもんだね。歌舞伎は映像見せてもらったけど。

あ、手紙受け取った？琉巧くんに渡したんだけど。』



いやー、琉巧くんに「Aちゃん...？」って言われた時はびっくりしたよね、



目黒「貰った。今日読んだ。」



『ん、ならよかった。』



目黒「ふっかさん達、泣いてたよ。」



『そ、っか。』



目黒「どの場面でも、どんな時でもAのこと思い出してるんだよ。Aなら、Aがいれば、って。ねぇ、戻ってこない？」



『...戻れないよ。私は。蓮だってわかってるでしょ？』



目黒「でも！」



『無理なんだよ、私。』



目黒「.....っ、」



『まぁでも、近々そっち顔出すから。』



目黒「は？」



『ジャニーズの裏側の仕事。現場の理解もしてるし、役に立つと思うよ私。あ、でもモデルの仕事はやるよ？』



表舞台への復帰も決まってる。



モデルの仕事は続けたくて、滝沢くんにお願いした。



目黒「じゃあ、やっぱり。」



『アイドルはしない。できない。』



目黒「Aらしくない。したいことすればいいのに、最初から諦めるなんてさ。」



蓮のその言葉に少し揺れた。



けど、変わらないよ私の決意は。



そう簡単に。



目黒「俺は、俺らはいつでも待ってるから。

双子の弟としてじゃない。花巻Aを尊敬してる目黒蓮としての思いだからこれは。」



真っ直ぐとした目で、そう蓮に言われたんだ。

053.→←051.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す