＿ ページ10
.
「毎日同じご飯だと飽きるのと一緒で、食う女も毎日変えたい派なんだよね、俺」
訳が分からなかった。
私の頭の中にいる『私を好きだと言った彼』は目の前にいなかったから。
「最近まじドタキャン続きで今日までヤれなかったのよ。なのにA接待で遅くなるって言うでしょ？さすがに我慢の限界で。さっき連絡したらすぐ来れるって言うからこの子に来てもらったの」
「ね〜？」なんて言いながら私のベッドに横たわった女の頭を撫でる彼。
「....ここ、私の家だよ？何勝手に連れ込んでるの？」
「何怒ってるの？自由にしていいよって言ったのAじゃん。俺の家来てもらうよりこっちの家の方が近かったから借りただけなのに怒んないでよ」
悪びれる様子もない彼に、沸々と怒りが込み上げてきた。
「最低、信じらんない、！出てって！」
「えぇ、もう終わり？寂しいなぁ」
「寂しいって、どの口が言ってんの....？」
「だって、Aちょー良い女だもん。決まった曜日だけ会いたいって言ったら何も言わずに飲み込んでくれるし、家も自由に使っていいって言ってくれるし。俺の家に乗り込んでくることもしないから他の女の子との予定も組みやすいし、こんなに俺に尽くしてくれる子手放すなんて勿体ないじゃん？」
彼の言う『良い女』は『都合のいい女』でしかなくて、神経を逆撫でされているかのような気持ちになる。
「Aは寂しくないの？俺と別れるなんて」
「誰があんたみたいなクズ....」
「クズか〜そっか〜じゃあもうおしまいでいいよ。他の子見つけるし」
彼は未練などなさそうに「ばいばーい」と笑い、ぐったりとしていた女を叩き起こした。
「ねーもうここ使えなくなっちゃったからさぁ、別んとこでもっかいしよーよ」
信じられない....
怒りが涙に変わり、視界がぼやけていく。
「あれ、泣いてるの？やっぱり寂しくなっちゃった？」
「よしよし」と言いながら頭を撫でる彼の手を、折れかけていたプライドで振り払う。
彼は笑いながら、部屋を出て行った。
「俺のこと忘れる為に頑張ってね」そう言い残して。
独り残された、香水の匂いが混じる部屋。
テーブルの上に置かれた合鍵が涙を流しているように見えた。
水曜日の男 × 白 fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴぃ - 残してくださって嬉しいです。またいつか戻って来てください。お返事ありがとうございました！ (2021年12月30日 22時) (
レス) id: 78b15a02bd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぴぃさん» ぴぃ様、驚かせてしまって申し訳ないです（ ; ; ）今後手が空き次第、過去作品の加筆修正を行う予定ではありますが、全て残しておくつもりですので楽しんでもらえたら嬉しいです＾＾コメントをくださったこと、とても嬉しく思ってます◎ありがとうございます！ (2021年12月28日 22時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - ぴぃと申します。この作品にやっと勇気を出してコメントしたら、休止されると知り寂しくなっております。長編作品、どれも続きが気になっていつも楽しみでした。作品残しておいていただけたら幸いです。何度も読み返したいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) id: 78b15a02bd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます！楽しんでもらえたなら良かったです（ ; ; ）別の作品も楽しんでもらえますように....🙏🏻 (2021年12月22日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 完結お疲れ様でした！青のクズホストも好きですが、やはり紫さんのクズ社員が一番好きです♡また短編集も思いつきましたらしてくださると嬉しいです！ (2021年12月20日 22時) (レス) id: 6570e0ebc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cleam
| 作成日時：2021年11月11日 22時
