検索窓
今日:13 hit、昨日:38 hit、合計:252,221 hit

_ ページ24

.











「風邪、引いちゃうよ、」


「...............だから嫌やってん、」


「え....?」












彼が苦しそうな表情を見せる。
あぁ....告白されていたところを見られていたんだ、とその時ようやく悟った。











「ごめんね....でもちゃんと断ったから、」


「....嫌や、」


「断ったのにダメなの、?」


「だって、そいつとまだ一緒に働くんやろ?」












彼はまた、ぎゅうっと抱きしめる力を強くする。












「なぁ....欲しいもんあるんやったら俺が買うたるからバイト辞めてや」


「え....」


「ほんまに心配なんよ」











「他にも絶対狙っとるやついるに決まっとる」なんて怖い顔をするから、私は彼の言葉に従うことにした。
これで少しでも彼の不安が解消されるなら、バイトくらい辞めたっていい。そう思うくらいに、彼のことが大切だったから。



でもこの日を境に彼の愛情は常軌を逸すようになる。





電車に乗っていた10分間、電話に出れないだけで鬼のように溜まる通知。


「買い物してくるね」と告げれば「誰とどこへ行き、何時に帰ってくるのか」までを事細かく聞かれ。


「俺と家族以外は必要ないやんな」と連絡先を消され、しまいには1人で出掛けることも許されず、彼の家にほぼ軟禁状態で隔離される日々。




それでもたまの休みに外へ連れて行ってくれるから、それほど苦痛だと感じたこともなかった。
いつでも握り締めてくれるその大きな手が大好きだったから。











「ここの店寄ってええ?」











彼が好きな古着屋さん。
良さそうな服を見つけては「試着してくる!」と楽しそうにカーテンの奥に入っていく彼を、少し離れたところで見守った。












「あれ、A?」












見計らったかのように、彼の手が離れた瞬間に後ろから声をかけられる。振り返った先にいたのは、中学の同級生だった。










「何だ〜ちゃんと生きてんじゃん!グループ動かしてんのに全然返事よこさないから皆で心配してたんだよ」


「あー....ごめん、連絡先全部消えちゃってさ、」


「そうだったの?なら早く言えよ〜!じゃあ新しいの登録するからQR出してよ」












仲の良かった友達にそう言われて、断ることも出来ずに画面に映し出されたQRコードを差し出した。











「またアイツらに連絡しとくからさ、暇な時に飲みにでも....」


「....何してん」











後ろから低い声が聞こえる。





.

_→←_



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (546 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1668人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぴぃ - 残してくださって嬉しいです。またいつか戻って来てください。お返事ありがとうございました! (2021年12月30日 22時) (レス) id: 78b15a02bd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぴぃさん» ぴぃ様、驚かせてしまって申し訳ないです( ; ; )今後手が空き次第、過去作品の加筆修正を行う予定ではありますが、全て残しておくつもりですので楽しんでもらえたら嬉しいです^^コメントをくださったこと、とても嬉しく思ってます◎ありがとうございます! (2021年12月28日 22時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - ぴぃと申します。この作品にやっと勇気を出してコメントしたら、休止されると知り寂しくなっております。長編作品、どれも続きが気になっていつも楽しみでした。作品残しておいていただけたら幸いです。何度も読み返したいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) id: 78b15a02bd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます!楽しんでもらえたなら良かったです( ; ; )別の作品も楽しんでもらえますように....🙏🏻 (2021年12月22日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 完結お疲れ様でした!青のクズホストも好きですが、やはり紫さんのクズ社員が一番好きです♡また短編集も思いつきましたらしてくださると嬉しいです! (2021年12月20日 22時) (レス) id: 6570e0ebc0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:cleam | 作成日時:2021年11月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。