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「悔しいね?こんな俺に成績抜かれちゃって」
「...........また抜き返せばいいだけの話です」
「ふーん、そう?じゃあ頑張ってね」
またへらっと笑いながら席について「なんか今日いつもよりかぁいいね」なんて違う女の子を口説く彼。
どうしてこんな男に負けてしまうのだろう。
私に何が足りないと言うのだろう。
いつもなら翌月への力に変換出来るのに、今日ばかりはそんな気持ちにもなれなくてあからさまに気落ちしてしまった。
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「悔しい.....!」
珍しく悔しさを消化出来なくて、1人居酒屋でジョッキをテーブルに音を立てて置く。
トップの座を奪われてから、もうかれこれ半年は経った気がする。
どうしてあんなやつが、なんて言ってしまうのはとても性格が悪い気がして嫌なんだけど、どう考えたって私の方が歴は長いし営業のノウハウだって知ってるはずなのに。
「深澤にあって、私にないもの、」
人懐っこさ
とっつきやすさ
笑顔
「.....全部人柄じゃん。私そんな堅いのかな」
そんなことをポツリと呟くと、誰かがカウンター席の隣に座ってきた。
「ちょっとってかだいぶ堅いと思うよ、俺は」
「..........深澤」
隣に座ったのは、ネクタイを緩めた深澤で。
私はあからさまに溜め息を吐き出した。
「出た〜溜め息〜Aちゃんって本当俺のこと嫌いだよね」
「嫌い」
「んはっ、すげー嫌われよう」
んははっと笑いながら、勝手にタブレットでお酒を注文する。
「何勝手に注文してんの。早く元いた席に戻った方がいいんじゃないですかー」
「残念、今日俺1人なのよ」
「じゃあ何で一緒に飲もうとしてるんですか。良いなんて言ってないんですけど」
「んー?なーんか話聞いてほしそうだったし」
「深澤に聞いてもらう話なんてない」
「おかしいなぁ。俺はてっきり営業成績のことで悩んでるんだと思ったんだけど」
「違う?」なんて言いながら勝手に枝豆まで摘み始めて。図星を突かれた私は何も言えずに黙り込んだ。
「その反応は正解だ?だったら尚更俺しか相談乗れないじゃん。Aちゃんよりも成績良いの、俺しかいないし」
凄く嫌味な言い方。
悔しいけど、反論することが出来なかった。
紛れもない事実だったから。
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ぴぃ - 残してくださって嬉しいです。またいつか戻って来てください。お返事ありがとうございました! (2021年12月30日 22時) (レス) id: 78b15a02bd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぴぃさん» ぴぃ様、驚かせてしまって申し訳ないです( ; ; )今後手が空き次第、過去作品の加筆修正を行う予定ではありますが、全て残しておくつもりですので楽しんでもらえたら嬉しいです^^コメントをくださったこと、とても嬉しく思ってます◎ありがとうございます! (2021年12月28日 22時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - ぴぃと申します。この作品にやっと勇気を出してコメントしたら、休止されると知り寂しくなっております。長編作品、どれも続きが気になっていつも楽しみでした。作品残しておいていただけたら幸いです。何度も読み返したいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) id: 78b15a02bd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぴぃさん» ありがとうございます!楽しんでもらえたなら良かったです( ; ; )別の作品も楽しんでもらえますように....🙏🏻 (2021年12月22日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぃ - 完結お疲れ様でした!青のクズホストも好きですが、やはり紫さんのクズ社員が一番好きです♡また短編集も思いつきましたらしてくださると嬉しいです! (2021年12月20日 22時) (レス) id: 6570e0ebc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2021年11月11日 22時