● 記憶に残る思い出 ページ23
.
重い身体を持ち上げて
逃げるように廊下に出る。
そしたら
自販機に行ってた2人とすれ違った。
佐「 A、落ち着いた？」
『 ……うん。』
深「 ほら、好きなやつ買ってきたから。
これ飲んで元気出そうぜ？」
そう言いながら
ふっかが渡してくれたリンゴジュース。
それを見たら、
なぜか4年前のことがふっと浮かんで
またポロポロと涙が溢れる。
佐「 うわっ、ふっか泣かせた…。」
深「 泣かせてねえって…！
A、一回そこ座ろ？佐久間、戻ってて。」
佐「 りょーかい、頼むよ！」
.
そのままふっかに手を引かれて
廊下の椅子に腰掛ける。
手に持ったリンゴジュースは
相変わらずカタカタと震えてた。
そんな手を
ふっかは優しくさすってくれて、
深「 …怖いよな。」
ただ一言、そう呟いた。
怖い？
怖いよ。すごく、怖い。
みんなのこと忘れていくのも、
手足が動かなくなるのも。
だってそんな身体じゃ、
みんなと一緒にいられないから…。
深「 でもなんか、懐かしいね。」
『 え？』
そしたら、
次に聞こえてきたのはそんな言葉。
深「 ほら、俺らのとこ来た日も
リンゴジュース持って泣いてたじゃん。」
『 覚えてるの…？』
それは、
私がさっき思い出したことだった。
.
6人に混ざるのが不安で
加入を迷って泣いてたあの日、
ふっかは私にリンゴジュースをくれた。
深「 むしろ、覚えてた？」
『 当たり前じゃん…っ、』
だってあの日から、
私の大好物になったんだもん…。
深「 だったら大丈夫じゃん。」
すると、
ふっかはそう言って笑いかける。
深「 大事な記憶、ちゃんと残ってんじゃん。
だから、根拠とかないけど… 大丈夫だって。」
.
治る方法も、治る見込みも、
私には明るい未来なんて見えなかったけど、
なんでだろう。
そのふっかの一言が、
今の私にとって特効薬みたいだった。
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さき - まじで泣きました...素敵な作品ありがとうございます.. (10月26日 17時) (
レス) @page50 id: 9aa429e4c8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして、この作品を読むのは3回目なのですが何回読んでも感動して涙が止まりません。普段泣くことも少ない私でも心に響くとてもいい作品だと思います。こんなに感動する素敵な作品に出会えてとても嬉しいです。感動的な作品本当にありがとうございます (8月8日 22時) (レス) @page50 id: 9eee8de410 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃま(プロフ) - コメント失礼します。前々から気になっていた作品だったので、思い切って読んでみたらありえないほど感動して涙が止まりませんでした。最高に素敵な作品をありがとうございます、、！！ (7月26日 3時) (レス) @page50 id: 6a1ddb5ea7 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - はじめまして。こちらの作品がおすすめに出てきて気になって読んでみたら、途中から涙が出てきて最後には号泣していました。あと1日生きられたらメンバーと再会できたのかなとか色々考えたりしましたがやっぱり大切な人を失うことは悲しいことだなと思いました。 (7月25日 21時) (レス) @page50 id: 8b72b5b67a (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とても感動して、おもわず涙が出てきました。何か心が揺さぶられるようなものがありました！！素敵な作品をありがとうございました (2023年4月23日 17時) (レス) @page46 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：望穂
| 作成日時：2020年4月3日 18時
