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そんなもどかしい日々が続いていたある日のことだった。
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あ 「…ここで合ってるのかなぁ」
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それは昨日、阿部さんが私のお店を訪れたことで起こった。
私はその時たまたまシフトが入っていなかったんだけど今朝、里奈から
阿部さんの財布が落ちてたって連絡があった。
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たまたま今日は大学がお休みで
阿部さんに『届けましょうか？』って連絡をしたら
『お願いしてもいい？』と言われたので、今に至る。
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んで、今日撮影があるっていう
テレビ局に来てみたんだけど
それはもう広くて、広くて…
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マネージャーさんと合流して渡すことになってるから警備員さんに話はついてるみたいだけど…
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3階のエレベーター前でマネージャーが待ってます。
俺から受け取りに行けなくてごめんね。
阿部亮平
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阿部さんはバラエティー番組の収録で手が離せないみたい。
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あ 「…3階のエレベーター前」
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警備員さんに道路を教えてもらったけれど
広すぎて全然分からない。
はたまた、テレビ局なんて初めて入るから軽いパニック状態、だ。
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あ 「…こっちじゃないや」
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そう、一度来た道を引き返そうとした時だった。
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あ 「…うわっ？」
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誰かとぶつかった弾みでしりもちをつく。
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『…ッテェ』
ふと、前を見ると私と同じように尻餅をついている男の人が居た。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年9月10日 20時
