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ふたりで乗り込んだのは、そう。
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あ 「ここからの景色すっごく綺麗ですよ！」
目 「え、マジ？」
あ 「さっき私達が乗ってた乗り物がすっごく小さく見えます」
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観覧車だ。
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目の前に目黒さんが座ってる。
高い所が少し苦手みたいで、ライトアップが綺麗だと促してもなかなか見ていなくて。
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目 「うわっ、今ちょっと揺れたよね？こわ」
あ 「…ふふ」
目 「え、何で笑ってんの」
あ 「目黒さんが高いところ苦手なんてなんか意外だなぁって、つい」
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風が吹いて、観覧車が揺れるたびに
うお、なんて声を出して少しビビってる目黒さんがなんだか可笑しい。
さっきから強がって我慢してるけどバレバレで。
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あ 「目黒さんって可愛い方なんですね」
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今日は目黒さんのことをたくさん知れた一日だった。
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見た目は男らしいのに実は
お化け屋敷とか高いところが苦手だったり
可愛い人なのかと思えば、私を引っ張ってくれる頼りがいのあるところもあって…
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ギャップがある、人って言うのかなぁ…
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目 「Aちゃんはさ…」
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目黒さんが少し低めの声で私の瞳をバッチリと見据える。
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その瞬間、ふたりだけの空間なんだって改めて思い知らされる。
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目 「阿部ちゃんのこと、好きなの？」
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あ 「…へっ」
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どうして急にそんなこと？
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もしかして、目黒さんには私の気持ち気付かれてるの？出逢ってそんなに経ってもないっていうのに。
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急に静かになる空間。
それでも観覧車は頂上まで向かって行くんだ。
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あ 「突然どうしたんですか…」
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あ 「そんなわけ、ないですよ！
ほら、目黒さん今観覧車頂上で…」
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無理して微笑む。
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このまま嘘を見透かされるのが怖かった。
わざと目黒さんから視線を逸らしてそう言う。
彼の方に振り向いたと同時に頬に手が優しく添えられて、そうして…
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？！
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何が起きているのか分からない。
目の前には目を閉じた目黒さんの顔。
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今、私目黒さんにキス…されてるの？
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ほんの一瞬でそれは離れて。頭の中が真っ白になる。
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目 「好きだよ、…Aちゃん」
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目 「俺じゃ、阿部ちゃんの代わりになれない？」
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目黒さんって、こんなに悲しげな表情するんだ、ね。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年9月10日 20時
