＊48 ページ18
.
今日は生憎の雨、ということでお店も閑散としていて
店内には私と里奈。向井さんに目黒さんだけ。
.
ああ、今阿部さん何してるんだろ。
…って、そりゃあお仕事だよね。
次はいつ頃会えるんだろうか。
疎らなこの雨がより寂しい思いを沸々とさせる。
.
会いたい、なぁ。
.
なんてボーッと時間が経つのを待っていたら
カウンターからひょこっと目黒さんが顔を出して来た。
.
目 「どーしたの？元気ないけど」
あ 「…え？元気ですよ！」
目 「嘘。だってずっと上の空って感じじゃん」
.
会ってまだ２回目だっていうのに目黒さんは
どうしてこんなに人の心が読めてしまうのか不思議でしょうがない。
.
あ 「…どうして分かるんですか」
.
素直な言葉が出た。
.
なんというか、その…
目黒さんには何でも見透かされる気がする。
その力強い瞳が、声がそう物語ってる。
.
目 「何でだろうね？」
.
悪戯に笑った目黒さんはカウンターの椅子に腰かけた。
すると、後ろからハイテンションの向井さんがやって来る。
.
向 「なぁ、めめ明々後日オフやろ？」
目 「…何、急に」
向 「遊園地行こうや！
里奈ちゃんがチケット取ってくれたんやって！4枚！」
.
遊園地？えっ？
アイドルが遊園地なんて行ったらパニックになるんじゃ…
なんて心配をしているのも尻目に向井さんはノリノリみたいで。
.
向 「行こうや〜滅多に行く機会ないやろ？せっかくやしさ！」
.
向 「…あ、Aちゃんも強制連行やで？今秋休みなんやろ？」
.
右目をウインクした向井さんは笑顔でそう呟いた。
なんで秋休みって知って…
あ、分かった。きっと里奈の仕業だ。
.
目黒さんは自分の意思を曲げなそうだし
簡単には行くなんて言わないってそう思った。
.
…けど。
.
目 「いいよ。行こう、楽しそうだし」
向 「ほんま？！」
目 「…この状況で嘘言うかよ」
.
なんか意外。
目黒さん、遊園地とか行かなそうなのに。でも本当に良いのかなぁ。
.
やったー！なんてはしゃいでる向井さんをよそに
目の前の目黒さんと目が合う。
.
目 「楽しいことすれば気も晴れるでしょ」
.
そこで分かった。
行くって言ってくれたのは元気がない私を励ます為なんだ…って。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年9月10日 20時
