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なるべく、今日は
誰とも顔を合わせたい気分じゃないや…
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里 「いらっしゃいませー！」
向 「やっほー！！来たで」
里 「あ、康二くん待ってたよ〜！」
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男の人にしては高めの声に関西弁。聞き覚えのある声。
向井さん？
っていうことは、阿部さんも…？
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やっと、会える！
ルンルン気分でカウンターから、走って入口の方まで行ってみると、そこには…
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阿部さん。
ではなくて。
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目 「あ、やっぱ居た。久しぶり」
あ 「…えっと」
爽やかに歯を見せて笑う男性。
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そう。長身の彼。
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あ 「目、黒さん？」
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目黒さんが居た。
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目 「覚えててくれてたんだ」
ハハッって口元を押さえて笑う当の本人。
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向 「めめが来たいって言うから連れて来たんや。
Aちゃん久しぶりやね」
あ 「お久しぶり、です」
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『てか、Aちゃんとめめ会ったことあるん？』なんて向井さん。
そうだ。この人のあだ名、めめ、って言うんだっけ？
阿部さんも確かそう呼んでたなぁ。
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目 「阿部ちゃんじゃなくて、ごめんね」
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少し切なそうに微笑む彼。
私が阿部さんに会いたいってこと彼には見透かされてる？
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あ 「…いえ！そんなこと！」
目 「とりあえず、座っていい？」
あ 「はい！どうぞ！」
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お冷とおしぼりを用意しようと、厨房へと足を進める。
なんだ、阿部さんが来たのかと思って少し期待しちゃった…
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そんな折、不意に後ろから肩を叩かれる。
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里 「ねぇ、Aめめと知り合いだったの？」
あ 「えっ？知り合いっていうかまぁ…色々あって」
里 「そうだったんだ！めめ本当イケメン〜。
急に来たからびっくりしちゃったよ」
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うん。確かに。
いかにも男前っていうか、イケメンって感じ。
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里 「めめ、わざわざお店来るなんてさ…」
あ 「？」
里 「Aに会いに来たんじゃないのー？」
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私が注いだお冷、そしておしぼりを持って二人の元へと歩いて行く。
里奈はからかってそう言ったんであろう。
いやぁ、ないない。そんな訳ないよ。
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そんなことより頭に浮かぶのは
阿部さんに会いたい。
それだけだった。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年9月10日 20時
