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夜も更ける頃。
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『体調よくなったから帰る』
そう言った阿部さんを引き留めた。
だって、まだ心配だから…
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先に彼にはシャワーを浴びてもらって、そして私もお風呂から上がる。
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あ 「阿部さん、今上がり、ま…」
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阿 「…」
お風呂から出ると、阿部さんはベットに横になって
スゥースゥー寝息を立てて眠っていた。
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相当疲れてるんだろうなぁ。
忙しいのに、私のお店にも頻繁に来てくれて。おまけに勉強教えてくれたり、家まで送ってくれたり…
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あ 「…ふふ」
べろーんと布団がめくれて、寒そうな足元。
普段はキッチリしてるのに、寝相は少し悪いのかなぁ。そういうところもまた可愛い。
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めくれた布団を直して新しい冷えピタを貼る。
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あ 「…よかったぁ」
熱も大分下がって来たみたい。
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今なら、少しくらい近くに居ても、いいよね？
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長い睫毛。つるつるな肌。綺麗な顔。
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幸せそうに眠るその寝顔がすごく愛おしい。
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…ねぇ、阿部さん。
阿部さんは私のことどう想っていますか？
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出来ることならこの気持ちを伝えたい。
だけど『好き』って言ったら阿部さんは迷惑ですよね？
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ずっと、この関係のままでも、いい…
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傍に居られる、なら。
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あ 「どこにも行かないで、下さい…ずっと笑い合っていたいから」
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最近、怖くなるんだ。
いつかこの関係さえも崩れてしまうんじゃないかって。会えなくなる日が来るんじゃないかって。
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彼の頬に触れようと伸ばしかけた手をふと、引っ込める。
ダメ。この気持ちは抑えない、と…いけないんだ。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年9月10日 20時
