雨と君の涙-2- (ページ15)

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第57話ページ15

アナタシアの演目はあっという間だった。

ちらりと客席の方に目を向けるとそこにはたくさんの幸せそうな表情の人たちがいた。

中には感動のあまり泣き出してしまう人もいた。

そんな風に人の心が動くのを目に見える形で感じられる、それだけでも人前で踊る意味を改めて感じさせられた。

そしてメンバーは次の演者さんと交代するため舞台袖へと移動し、そこからあれよあれよという間に楽屋に戻ってきた。

私はというと、さっきの光景が頭から離れずただぼーっと突っ立っていることしかできなかった。

そんな私を疑問に思ったのか、まさとくんがぽんと私の頭の上に手を乗っけてきた。

まさと「Aちゃん？どうかしたのー？」

その声ではっと我に帰る。

「いや、なんでもない…ただ、すごいなって改めて思って…」

まさと「んー…こうしてステージに立つっていう機会がもらえるのも奇跡だし本当にありがたいことよねー…でもまだまだだよー！」

まりん「ていうかダンスの実力ではAの方が上な気がするしな…ww」

隣にいたまりんくんが会話に参加してくる。

「ぅえ…！？そんなことないよ…！？」

驚きすぎて変な声が出てしまった。

まりん「いやいや、割とまじでwww」

首を思いっきり振っていると後ろから健くんが声をかけてきた。

芝健「ねぇAー、もし良かったらで全然大丈夫だし、もし少しでも躊躇するようなら断ってもらっちゃって構わないんだけどさ、」

いつになく真面目な顔つきの健くん。

「ぇ…？なに…？」

無意識のうちに声が小さくなる。

芝健「俺たちと踊らない？」