雨と君の涙 (ページ7)

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第6話ページ7

スタジオから外に出ると予想以上に雨が降っていて、傘をさすのがやっとだった。

そういえば洗濯物干しっぱなしで来ちゃったな…
なんて他愛もないことを思いつつ歩き、角を曲がるとそこにはそれなりに広い公園があった。

こんな大雨で人なんていないんだろうな。

そう思って通り過ぎようとしたとき、公園の中でゆらりと人影が揺れた。

不思議に思いその方向を向いてみると、そこには雨の中傘もささず踊っている女性がいた。

その瞬間息を呑んだ。

流れるようなステップにブレない美しいターン。
一つ一つ指先まで丁寧で、それでいて力強い魂のこもったダンス。

張り詰めた空気を切り裂くような優雅でしなやかな踊りに俺は目が離せなくなった。

ひとしきり踊った後、彼女は少しため息をつき公園を出て行った。

俺は急いで追いかけた。

幸い彼女はそこまで遠いところまで行ってはいなかった。

彼女の背中を見つけると俺はすぐに声をかけた。

「あのっ…！」

急に声を出したせいか少し声が裏返ってしまった。

？「えっと…？あの、どうかしましたか？」

彼女は困惑しているようだった。それもそうだろう。急に見知らぬ人に話しかけられた訳だし。
それでも俺は話し続ける。

「あの、さっきそこの公園で踊ってましたよね？俺もダンスをやっててさっきちらっと見て気になったんで声をかけさせてもらいました」

何も考えず話しかけてしまったため酷いくらいに話がまとまっていない。

？「え、あぁ…」

「あ、俺アナタシアっていうダンスグループの芝健っていいます」

本当に順序がぐちゃぐちゃだ。
自分でも笑ってしまいそうなくらいに。

「とりあえず俺ら近くのスタジオで練習してるんで一緒に来ませんか？ほら、雨で服も濡れちゃってるだろうし」

もっと彼女と話してみたい。
もっと彼女のことを知りたい。
気づけばそう誘っていた。

彼女は少し考えた後、

？「わざわざすみません。ご迷惑じゃなければ行かせていただいてもよろしいですか？」

「こっちは全然大丈夫です！じゃあ行きましょう！」

俺はそう言い、メンバーたちの待つスタジオを目指し歩き始めた。

気がつけば雨は止んでいて青空が広がっていた。