雨と君の涙 (ページ49)

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第45話ページ49

A「……さっきまさとくんとか、帰らなきゃいけない人たちにお礼を言ってて、何気なく“またお願いね”って言おうとしたの。…でも」

黙って聞く。多分そっちの方が話しやすいだろうし。

A「…“また”なんてあるのかなって、私なんかが“また”なんて言っていいのかなって、思っちゃって…
…急に私はここにいていいのかなって思い始めちゃって…
…みんなは優しいから…」

ふと目線を下げてAの手元を見ると、手のひらに爪が食い込んで今にも血が出そうだった。

俺はAの手を自分の手で包んだ。

「いいんだよ。Aはここにいて。というか俺らがここにいて欲しいんだよ。」

A「…ぇ？…」

掠れたAの声。
俺は話し続ける。

まりん「Aは俺らのこと優しいって言うけど、一応俺らだって人間。好きな人もいれば、苦手な人もいる。苦手な人に優しく接してあげられるほど俺らだって出来た人間じゃないんよ。
だからAに優しくするのはただ俺たちがいい人っていうわけじゃなくて、俺たちがAのことを大切に思ってるってことなんだよ」

我ながら自分らしくないことを言ったななんて思う。
けどその言葉は本心で、真っ直ぐAに届いて欲しくて。

A「…私は……ここにいていいの…？」

今にも消えそうな弱々しい声でAが言う。

「おう。もちろん」

こういう時どうしたらいいのか分からなくて

「ほら、涙拭いて。俺が泣かせたみたいになるやろ」

としか言えなかった。

それでもAは

「…まりんくんありがとうね」

と俯いたままボソッと呟いた。
何か気の利いた言葉も浮かばず

まりん「…おう。」

とだけ答えた。

その後スマホを見るとまさとから

まさとAちゃん何かあったっぽいからまりんくん話聞いてあげて!

ときていた。
言われなくても気付くわ。

あと一連の様子をずっと健が部屋の外で聞いてたのバレバレやからな。

みんなAのこと大好きすぎん？
そんなことを考えながら1人苦笑した。