雨と君の涙 (ページ47)

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第43話ページ47

残ったメンバー、健くん、まりんくん、私は部屋の片付けやら何やらをぐだぐだとしながらしている。

先ほどから降り始めた雨はどんどん強くなっている。
ああ、帰った人たち大丈夫かな。

なんて考えながら片付けていたら健くんが別の部屋の片付けに行ってしまい、私はまりんくんと2人で黙々と作業をする。

するとまりんくんが急に

まりん「………Aどしたん？俺で良ければ話聞くけど」

と尋ねてきた。
そして

まりん「あ、話したくなければ全然構わんよ。まあ心配ではあるけどな」

と付け足した。

ああ、きっとまりんくんには全て見抜かれている。
隠しても何の意味もないだろう。
私は覚悟を決めて話すことにした。

「……さっきまさとくんとか、帰らなきゃいけない人たちにお礼を言ってて、何気なく“またお願いね”って言おうとしたの。…でも」

まりんくんは黙って聞いていてくれる。

「…“また”なんてあるのかなって、私なんかが“また”なんて言っていいのかなって、思っちゃって…
…急に私はここにいていいのかなって思い始めちゃって…
…みんなは優しいから…」

無意識のうちにぎゅっと握りしめた拳にさらに力が入り、血が出てしまうんじゃないかというくらい手のひらに爪が食い込んだ。

するとまりんくんが私の手を優しく包んだ。

まりん「いいんだよ。Aはここにいて。というか俺らがここにいて欲しいんだよ。」

「…ぇ？…」

掠れた声しか出なかった。

まりん「Aは俺らのこと優しいって言うけど、一応俺らだって人間。好きな人もいれば、苦手な人もいる。苦手な人に優しく接してあげられるほど俺らだって出来た人間じゃないんよ。
だからAに優しくするのはただ俺たちがいい人っていうわけじゃなくて、俺たちがAのことを大切に思ってるってことなんだよ」

まりんくんのその言葉を聞いて視界が歪む。

「…私は……ここにいていいの…？」

改めて私は聞く。

まりん「おう。もちろん」

まりんくんは優しく微笑んでそう答えた。

私の頬に一筋の滴が流れた。

まりん「ほら、涙拭いて。俺が泣かせたみたいになるやろ」

私は

「…まりんくんありがとうね」

俯いたままボソッと呟いた。
すると

まりん「…おう。」

とだけ返ってきた。

ああ、私このグループが、この人たちが大好きだな。

さっきまで勢いよく降り続いていた雨はいつのまにか止み、綺麗な月が顔を覗かせていた。