雨と君の涙 (ページ15)

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第13話ページ15

Aside

「……梨奈ちゃん……？」

ドアの前に立って私と同じように驚き固まっているのは。

私がずっと会いたくてたまらなかった人。
私がずっと忘れようとしてた人。
私が唯一信じることができた人。

…もう二度と会わないと思ってた人。

彼女は

「……Aちゃん……？」

とボソリと呟いた。

その聞き慣れた声に呼吸が荒くなる。

私はたまらずスタジオを飛び出した。

もうどうしたらいいのか分からない。
行くあてもなく走り出す。

どうして？
どうして？
どうして？

頭の中にはそれしか浮かばない。

途中転びそうになりながらも、必死になって走り続けると芝健さんと出会ったあの公園に着いた。

息を切らしながら公園に入る。

先程と変わらずこの公園には誰もいない。

私はとりあえずベンチに腰掛ける。

…これからどうしよう。

思わずスタジオを飛び出してきちゃったし、荷物は置いてきちゃったし、何にせよ皆さんに合わせる顔がない。

考えていると急に視界がぐにゃりと歪んだ。

それが自分の涙だと理解するのに少し時間がかかった。

一度溢れ出た涙はもう止まらない。

私は1人で嗚咽を堪えながら泣き出してしまった。

どうしよう。
もう何も分からない。

急に目の前が真っ暗になった気がした。