コーヒーとオレンジジュース【佐久間】

37:おもち ページ38

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「ごめんね、腕握って。昨日触られたとこ、大丈夫？」


『んー、じわーっと痛いくらいかな』


「痛いの？」



自販機の前まで来ると、私の腕を心配しだした佐久間。
痛い、と告げるとさっきまでとはうって変わった表情を見せる。



「腕、見せて」


『え？…いいよ、大丈夫大丈夫！』


「いいから」



あまりに真剣な目に見つめられて、濁せない。
大人しく掴まれた部分を見せると、うっすら痣ができていた。



「痛そう」


『佐久間が思ってるほどじゃないよ？』


「…」



顔は曇ったまま。
見せた腕を優しく触られる。



「俺がもうちょっと早く来れてればなぁ」


『佐久間のせいじゃないから。私が悪いんだもん。…そんな顔しないでよ』


「…だって…」


『過去は過去なのー！ほら、飲み物買って帰るよ！』



ずっと曇ったままの顔をしてる佐久間を見てるのは辛い。私が原因なんだけども。



『はい！オレンジジュース』


「ありがとう、いいの？」


『昨日のお礼』



自分の分のコーヒーも買って佐久間と一緒に上に戻る。
終始浮かない顔をした佐久間のほっぺたを思わずぎゅむっとつまむ。



「！？いたい！」


『そんな顔しないでよ。いつもの佐久間の顔が好き。私ならもう大丈夫だから、ね？』


「…わかった！わかったから、離して！いたい！」


『んふふ、おもちみたいだね、佐久間』



真っ白で柔らかい佐久間のほっぺたはほんとにおもちみたいだった。


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