コーヒーとオレンジジュース【佐久間】

26:微妙な勘違い ページ27

*


『おかえり、なんの話だったの？』



戻ってくるなり、眉毛が下がり気味の佐久間。
こりゃなんか嫌なことでも言われたな？



「別件の方で今日残って欲しいって」


『え！じゃあ今日残業なの？』


「そうだよ〜…」


『うわぁ、おつかれ』


「Aちゃん1人で帰らせるの不安なんだけど！！」



こんな時にまで自分のことを心配してくれる。
家そこまで遠いわけじゃないし、別に大丈夫なんだけどなぁ。



『大丈夫だよ、もし声かけられたら全力で逃げるから』


「まっじでそうして…」



冗談を言ったつもりがめちゃめちゃ真剣そうな顔をする佐久間。
え、そんなに？そんな顔する程？



『わかったわかった(笑)よし、作業進めよっか！』


「……うん」



いや、テンション下がりすぎー。
あからさまに下がりすぎだよ、佐久間。
この調子じゃあスムーズに進まらないんじゃないかとまで思う。



『わかった佐久間。あしたの夜、私の家で飲もう』


「…へ？」


『今日木曜日じゃん。明日金曜日だから、いろいろ買って、なんか作って、うちで飲も』


「いいの？俺はめっちゃ行きたいけど」


『うん、そうすれば今のテンション上がるでしょ？明日美味しいもの一緒に食べれるから、今日は別々に帰るのはしょうがない』


「…うん？いや、一緒に帰れないのでテンション低いってか、1人で帰らせるのが不安っていうか、危険だから嫌なのであって…」


『？？…よくわかんないけど、大丈夫だよ』



大丈夫、そう言ったはいいものの、後にこの言葉を後悔することになる。


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